異世界に行く方法その20

「精霊王サマ、そっちはどないやぁ~?」



 パチパチと焚火たきび、その上で飯盒はんごうが二つくつくつと音を立てている。その火の番をしているのは精霊王ツィタニア。



「いい感じですよ宗麟。カレーの方はいかがでしょうか?」

「完璧すぎてクソ怖いチキンカレーが今か今かと米が炊けるのを待っとるわ! こら、ごっつえらいカレーができるでしかし!」



 野菜と鶏肉を切り分けてチキンカレーを作っている宗麟。なんと、カレールーまで自作しているという力のいれようだった。



「テントよし、寝袋よし!」



 大き目のテントを用意し本日はここでキャンプをする。目的は当然、異世界に行く方法を試す為……



「しかし宗麟、どのようにして異世界へ行くんですか?」

「えー、二つの方法を試そうと思っていますー。まぁ飯ができるのを待とうや」



 そう言われるもツィタニアもこのロケーションで食べるカレーのヤバさは想像を絶するだろうと頷いた。



「では、ごはんを蒸らしますね!」



 そう言って飯盒を逆さまにしてからカンカンとツィタニアは叩いた。その様子に宗麟は思いっきり突っ込む。



「精霊王サマは何時代の人やねん! どんだけ飯盒の使い方極めとんねん!」

「いえ、これは凄い炊飯道具ですよ! 正直持ち帰りたいくらいです」

「おー、持って帰れ持って帰れ!」



 なんだかテンションの高い宗麟はスプーンを用意すると蒸らしたご飯を飯盒の蓋に盛ると、カレーをかけた。



「ほい、精霊王サマ」

「ありがとう」



 二人は並んで椅子に座る。そしてカレーを目の前に一礼。



「「いただきまーす!」」



 外で食事を取ると美味いのは、野生の感が働き、危険な状況に身を出して食事をするから等と言われているが、実際単純に環境が違う場所で苦労して作った喜びが美味しさを数倍上げているのだろうと宗麟は考える。

 本当においしい物を食べた時、食レポなんてものは存在しない。最高の誉め言葉はこの一言である。



「「うんまぁい!」」



 カレーを食べながら空を見上げる。そしてツィタニアは大声を上げた。



「宗麟、宗麟! ほうき星ですよ! 素敵ですね」

「おぉ? それや! 今回のキャンプでの異世界に行く方法を調べるその一! 流れ星に三回願うのは実際かなうのかぁ!」



 内容を説明するとツィタニアは噴き出す。



「あんなのに祈っても願いなんて叶うわけないじゃないですか! あれは何の変哲もない石ですよ」

「なんか、精霊王サマにそれを言われるのは腹立つなぁ。まぁええわ! とりあえず願いごと異世界に行きたい。三回やで!」



 待ち、試行する事三時間。修行僧のような時間をかけて分かった事……



「俺達は、一体、何に願ってたんや……」

「だから……石ですって……」



 流れ星に願っても異世界に行けない事だけは分かった。そして宗麟は言う。



「ほな、本命のヤバいトンネルいこか」



 そう言って宗麟は自分の顔にライトをぴかーっと照らした。

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