異世界に行く方法その19

「えぇ、今日は疑似異世界体験をしますぅ」

「疑似異世界体験ですか?」



 そう言って宗麟は鞄からマックブックを取り出すとそれをツィタニアに渡した。パソコンなんて使った事がない。宗麟はパソコンの電源を入れて起動させると、アイコンの一つをクリックした。



「よし、じゃあキャラクターを作れ!」

「はい?」

「今回はこの先日新しくはじまったMMORPGを始めたいと思います! 簡単に説明するとこのパソコンの中で世界があり、そこに敵があり、生活がある。そんな中に俺達はアバターという名の傀儡を使って生活するという遊びだ」



 最後の遊びという言葉を聞いてツィタニアは落胆する。異世界に行くという実験の数々の中で遊びを入れてきた事。



「宗麟、もう飽きてしまわれたのですか?」

「何を?」

「私を異世界に戻すという事です」



 その言葉に関して宗麟は耳をほじりながらツィタニアを馬鹿にしたような顔を見せる。そして宗麟が語った言葉。



「異世界転生もののいくつかは、このMMORPGをしていて突然、異世界に飛んだり、このゲームがサービス終了して異世界に転生したりとご都合主義的な展開が数多くあるのだ。という事で俺達もその恩恵にあやかろうとな」



 宗麟は何も考えていないわけではなかった。その事が分かるとツィタニアは無言でキャラクターメイクを始める。



「さぁ、宗麟できましたよ! 冒険しましょう」



 盾職を選んだ宗麟と回復職を選んだツィタニア、二人は魔王が復活したという設定の世界で旅をした。クエスト繰り返し、宗麟が偶然みつけたラグを使っての高速レベリング。現在、解放されているレベルキャップまで一気に跳ね上げ、現在実装されているストーリーまで高速周回し、現状実装されている最高装備を最高レベルまで鍛え上げた二人。

 オカ研という名のギルドは参加希望者が後を絶たず、ギルマスの宗麟と副ギルマスのツィタニア、面接まで行われるようになった。



「は? 会社でインできるのは夜? ふざけるな! やる気あるのかボケぇ!」

「四六時中インしていただけない方はちょっと……」



 MMO黎明期を彷彿させるそのシビアなギルド運営、そんな環境下が続く中で宗麟はふとある事を思い出す。

 今日、学校休みだったと……



「精霊王サマ」

「なんですか? 今、ギルダンのレイドボスと交戦中です。回復職の私一人でソロ狩り中ですのでお静かに」



 現在実装されている最強のモンスターをソロで狩り落とすツィタニアを見て宗麟はツィタニアのノートパソコンの電源を落とした。



「何をするんですか!」

「こっちに戻ってこい!」



 MMORPGは時と場合によっては異世界に行けると宗麟はメモを取った。

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