異世界に行く方法その17

 二人は商店街の福引で当てたチケットを持ってチェーン店の健康ランドへとやってくる。ツィタニアはその店舗の佇まいから宗麟に聞いた。



「ここは何か王族でも住まう場所ですか?」

「いや、むしろ俺達が王族みたいな扱いを受ける場所だ。温泉施設、古来から言われている名前が健康ランド、まずは異世界に行く疑似体験をしようじゃないか!」



 今までは異世界に行く方法を幾度となく実践し、悉く失敗。

 やや、そのモチベーションが保てなくなってきている中、今回は骨休みという体でここにやってきたのだ。



「前回、俺達は福引を当てるという快感にて瞬間的に異世界を感じられたハズだ。違うか? 精霊王サマ」



 滅茶苦茶な事を言うが、確かにあの福引が当たった時の感覚はなんとも言えないものであった事は確かだった。



「えぇ……ですが、それと今回は何が関係しているのでしょうか?」

「いやさ、この前の感覚をヤバいレベルで感じる事ができたら……あるいは異世界に本当にぶっ飛べるんじゃね? 異世界トリップって言葉が俺達の世界にはあるんだ。それを維持する程の快楽が、ここにはある」



 そう言って宗麟はツィタニアにメモを渡した。そのメモを見てツィタニアは再び宗麟に質問する。



「何ですかこれ?」

「おまぇはああああ! 自分で少しは考えんかぁ! この施設にある温泉の情報だ。順番は好きに入ればいい。ただサウナーと水風呂の順番は変えるな! あと上がったらあそこのマットで待ち合わせだ。ええな?」



 二人はたのしんだ。

 塩風呂を、五右衛門風呂を、電気風呂を、ラドンとかいう怪獣みたいな名前の風呂を……サウナーに入り、そして水風呂で火照ったからだを冷やす。

 そして温泉、最後にかけ湯と熱めのジェットバス。



「そそそそ、宗麟!」

「せせせせ、精霊王サマ!」



 二人は体中をほぐされ、体中が全力で喜んでいる。そのままマットの下で眠りにつきそうになるが……宗麟は立ち上がった。



「ダメだ。起きろ、精霊王サマ。最後はアレや!」



 宗麟は精霊王ツィタニアをマッサージに機に座らせる。そして三百円を入れマシーンが稼働する。もう宗麟も寝落ちしそうなその状況で宗麟はツィタニアに聞く。



「なぁ? 精霊王サマ……どや? いせかい……いけたか? 俺も……異世界いくな?」



 隣のマッサージ機に座ると宗麟もまた硬貨を入れて、マシーンを動かした。宗麟は横で意識を飛ばしているツィタニアに続いた。

 健康ランドは異世界に行ける場所かもしれない……そう思いながら宗麟は意識が無くなっていく。

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