異世界に行く方法その15

「本日は精霊王サマ、近くて遠い異世界に行く方法を実験してみようと思うんや、これ見てみぃ!」



 十五枚の紙きれを見せる宗麟。



「宗麟、この紙はなんですか?」

「ここ最近、スマホ会社くらいしかせんくなったガラちゅーや!」

「がらちゅー?」

「ガラガラ抽選言うてな! 死ぬほど盛り上がるくじ引きや! これ五枚一組で一回ガラちゅーできるんやけど、今回はこれで異世界に行けるか試してみまーす!」



 そう言って宗麟は商店街のガラガラ抽選に向かう、



「300円以上買うとこの紙を1枚貰えると、そしてそれを五枚集めると何かに挑戦できるという事ですね! 宗麟たちの世界の人は色々と面白い事を考えるものですね!」

「あぁ、これこそが、俺達の世界の文化と言っても過言ではないんや! じゃあ行くで精霊王サマ!」



 近所の商店街へとやってきた二人。そこには年配の男女が数人並ぶ程度で閑散としていた。それに嫌な予感が既に二人の中で広がる。



「宗麟、もう全く人がいないんですが……」

「いや、逆に考えよう。5等とかいうハズレ、4等のペットボトルのお茶、3等のお母さんが喜ぶ食器用洗剤、2等の商店街にしか使えない商品券3000円、そして……一等の健康ランド二名様チケぇえええっぅと!」



 そこに指を指して宗麟が叫ぶのでツィタニアが尋ねる。



「健康ランドとはなんでしょう? というか、そもそもこれは異世界に行く方法と関係があるんでしょうか?」

「このダボカスがっ! 健康ランドはある意味異世界やろーが! そこに行く為に今日は俺達は確率を計算して、健康ランドを当てる。それが今回の異世界に行く方法や! 基本的に一等の健康ランドのチケットは最初の開催日には出ーへん、二日目が濃厚や」

「ではどうやって?」



 宗麟は過去十年のこの商店街のガラガラ抽選のデータを集めていた。それを見て普通にツィタニアは驚く。



「これはどうやって?」

「何言ってんねん! 俺はこの街に生まれて十七年やねん!」



 その言葉を聞いてツィタニアはそうかと思ったと同時に、一つの疑問が浮かんだ。



「宗麟はこの東京生まれの東京育ちの方なんですか?」

「何処からどう見ても東京のシティーボーイやろぉが!」



 いくつか関わる東京の人とはどう考えても宗麟は喋り方が違う。

 そこで、ツィタニアはピンと来た。宗麟が何故魔王を呼び出そうとしたのか? そして、異世界に行く方法を調べようとしているのか……

 宗麟は喋り方も違う。宗麟も異世界から来たのではないか……



「本当は宗麟は何処から来たんですか?」

「は? 家からやけど?」

「宗麟の家に行きましょう!」

「ガラ抽はどないすんねん?」

「次回です!」



 宗麟の住むマンションに向かい、宗麟の住まう部屋の扉の前でツィタニアはドアを開く。そこは……



「おかえり宗麟……あれ? その女の子は? なになに? もしかして彼女ぉ! おとーさん! そしていもうとよー! 宗麟が彼女つれてきたぁー!」



 そこはある種異世界だった。

 そして、宗麟だけ喋り方が違う事の謎が分からないままだった。

 この方法で異世界に行ける可能性、50パーセント。

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