異世界に行く方法その14

「かんぱーい!」

「かんぱい!」



 ツィタニアと宗麟は、家を持たずにストリートで生きていく大人達と杯を交わしていた。彼らは桜の木の下にいる。

 季節外れの花見というわけじゃない。



「な、なんなんですか彼らは? 朝からお酒を呑んでいるなんて落伍者ではないのですか? なんか獣のような匂いがしますよ彼ら」

「失礼な事をいいなや精霊王サマ、この人等は家を持たず自由気ままに生きるいわば俺の世界の冒険者達やぞ! それ故、色んな事を知ってるわけだ。とりあえず今は飲め飲め! まぁ俺達はジュースだけどな。精霊王サマは炭酸いけたっけ?」

「えぇ、コーラではなくてジンジャエールをお願いします」



 周囲の視線の痛い事この上ない、外から見れば浮浪者達とブルーシートで酒盛り……未成年の為ジュース盛りをしている彼ら。



「お嬢ちゃんは偉人さんかね? 綺麗だねぇ」

「え……えぇ。私はグリセリニアという精霊界の女王なんですけど……」

「あぁ! 外人さんねぇ! それもいいところの子かい?」



 ツィタニアが完全にドン引きしている中で、宗麟は彼らにお酒を尺して回る。そしていい感じで酔いが回ってきた彼らに宗麟は聞く。



「そろそろ話せや! おっさん等、この辺の桜の木でなんか見たんやろ?」



 先ほどまでとは打って変わって宗麟は彼らに話を聞こうとする。酔った男たちは静かに語りだした。



「いつも通り、俺は日雇いの仕事をして回っていたんだ……そしてこの桜の木のところで女が指を下に向けてたんだ……この桜の木の下には何かがある……」

「はい、あんがとさん! 他には? 他にはありませんかー?」



 宗麟の質問に対して、そこにいた男たちは俺も俺もと似たような話をする。それを聞いて宗麟が革新した答え。



「じゃあ、ここに異世界への扉があるという事が分かりましたので!」

「いやいや! 宗麟、完全にここには女性の死体が埋まってますって! 絶対ダメなやつですよ!」



 宗麟はスコップを用意すると男たちに指示して穴を掘り始める。そして宗麟も同じく穴を掘りながらツィタニアに言った。



「もうじき異世界の扉が見つかるからな! 待ってろよ精霊王サマ」

「いや、地獄の門か何かでしょうが……」



 そしてしばらくして……男たちの酔いが覚める物が見つかってしまう。そしてすぐに宗麟はスマホを取り出すとあるところに電話をした。



「もしもし、警察ですか? えぇ、桜の木の下にですね……えぇ、じゃあ現場は触らずにおいておきますので、はい」



 異世界に行く事はできなかったが、一つの悲しい魂を天国へ送る事ができた。

 そんな充実感にひたりながら宗麟はメモ帳に今回の方法にバツをつけた。

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