異世界に行く方法その12

 二人は三十階建てのマンションにやってきていた。そしてツィタニアはここが何処かは分からない。



「もしかして、宗麟の家ですか?」

「いいえ、クラスメイトの満月さじ君の家です」

「誰ですか? その方に御用があるんですか?」



 当然ツィタニアの考えに至るだろう。されど、宗麟は首を横に振る。そして二人はエレベーターの前へとやってきた。



「俺と満月さじ君には接点はないから、友達というわけでもないしな。今回必要な物はこのエレベーターとなるんや!」

「エレベーターですか?」

「百聞は一見に如かずや、乗ってみぃ!」



 二人でエレベーターに乗る。そして、適当な階を押すとエレベーターは上昇していく。それに当然驚くのはツィタニア。



「宗麟、床が動いてます! 床が……」

「はい、異世界の人らしい反応ありがとう。バスでは驚かへんのにエレベーターは驚くねんな? でドアがひらきまーす!」



 開いたドアの先。

 五階。



「そそそそ! 宗麟。ワープです! ワープしていますよぅ!」

「じゃなくて、これ上に上がったり下に下がったりする機械なんや」

「成程、宗麟たちの世界は便利ですね」

「では、今回これを使って異世界に行けるかの検証をしてみようと思います!」



 実際、異世界に行く方法を今まで検証してきたので、実際そうなのだろう。ツィタニアは宗麟の話を聞く。



「まず、こいつの使い方を覚えてもらうで、これは一人で行わんといかん方法やからの」



 エレベーターに乗り、4階に移動。2階に移動。6階に移動。2階に移動。10階に移動。



「この時、誰かが乗ってきたらやり直しやで」



 10階にたどり着くと、降りずに5階を押す。

 5階に着くと女性が乗ってくる。



「この女には絶対に話しかけたらあかんで?」



 女性が乗ってきたら1階を押す。されど、エレベーターは何故か上昇し10階を越えた時点で成功。



「ちゅーことで10階以上のエレベーターのあるこのマンションを使います。えぇ、基本的に人の家にこんな遊びをしに行くのは迷惑なので止めましょう。今回は満月さじ君の家にプリントを持っていくという嘘口実でこの建物に侵入しましたー。じゃあ、精霊王サマ、行ってこぉい!」



「分かりました。じゃあ、行ってきますね宗麟」



 宗麟はふぅとため息をつき、この方法を再びスマホで調べなおす。そこに書かれていた一文。

 その異世界は、方法を使ってたどり着いた自分一人しかいないらしい。



「あっ……成功してもドボンやんけ……」



 もしも、の可能性があるので宗麟はダッシュ! 走って階段を上るとツィタニアが乗るエレベーターは5階に到着していた。そこに立つ女。



「精霊王サマ、こっちや!」

「えっ? 宗麟これだと失敗じゃ……」

「えぇねん。私有地で遊ぶのはやっぱアカンは牛丼でも食うて帰ろう」



 宗麟は黙っていた。5階に乗ってきた女がエレベータの入り口に張り付いてこちらをじぃーっと見つめていた事に……



「こっわ……この方法は失敗と」

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