異世界に行く方法その9

「よし、精霊王サマ準備はできたかぁ?」

「すみません、月間ムーをまだ入れていないので」



 リュックサックに300円分のオヤツと弁当と、そして自分の好きな書籍を入れて二人はピクニックに出かける事にした。

 ここ数日の異世界に行く方法を試すという事に疲れ、たまにはリフレッシュするのもいいのではないかという宗麟の提案。



「今日はいいお天気ですねぇ! こんなお日様の元食べるお弁当は実に美味しいでしょうね! はっ! お弁当に何か細工が?」



 そう言ってリュックの中の弁当を確認する。おにぎりに、唐揚げ、卵焼きにソーセージ、そしてプチトマト。そして小さなフルーツボックスが別でついている。やや野菜の足りない子供の大好きな弁当を再現してある。



「精霊王サマは人を疑うさかしい人やなぁ~、俺が朝六時に起きて作った弁当やのに」

「すみません! すーみませんぅ!」

「まぁ、ええわ! 水筒の中身は濃いめのカルピスや! 脳みそがとろけるくらいうまいからなぁ!」



 カルピスの旨さはツィタニアもよく知っている。あの飲んだ後に謎のだらだらが喉の奥にできあがったりする不思議飲料。

 が、精霊界にも存在しない甘美な飲み物であるという事。



「味だけで言えば異世界級ですからね!」

「ほな行くでぇ!」

「何処に行くんですか?」

「せやなぁ、上野動物園にでも行ってみるかぁ! バスでええ感じの時間座るしのぉ」



 ゆっくりと揺られ、二人は上野動物園に到着、動物園に入るやいなや、ツィタニアの騒ぎようはすさまじかった。



「すっごーい! 宗麟、宗麟! いっぱい成獣がいますよ! なんですかここは? あちらには危険な魔獣のような者が! うわー、鼻ながーい! 意味わかんなーい!」

「うん、ただの雌ガキやな。一通り見たら弁当やでぇ! あんまりはしゃいでころびなや?」



 ブルーシートをひいて弁当、そして読書。



「このポカポカ陽気で読む月間ムーは格別やなぁ」

「えぇ、私もムーを読む為に宗麟の世界の言葉を覚えましたからねぇ……しかしこの嘘だらけの雑誌を読んでいると眠く……」

「寝たらあかんし、アカン事いいな!月間ムーは半分くらいはホンマや。 よし、体動かすでバトミントンや!」



 売店で売られているバトミントンを購入してツィタニアと二人ではじめる。それが終わるとオヤツを食べながら動物園二週目、日が暮れてきた頃に宗麟はうとうとしているツィタニアに帰るように促す。

 半分寝かかっているツィタニアをバスに乗せて、宗麟も目をつぶる。



「……そうりん、きょうは……ありがとうございました」



 目覚めた二人。



「いやぁー! 楽しかったですねぇ宗麟!」

「せやな! バスでうっかり寝てもうたら異世界でしたは、嘘いう事がよー分かったわ! 失敗」



 メモ帳にバツをつけながら、一日楽しかったのでいいかと宗麟も思った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます