異世界に行く方法その7

 スパスパ、ちょきん!



「ちょっと! 宗麟、切り過ぎないでくださいよっ!」

「精霊王サマ、俺は散髪なんてした事あらへんから、お覚悟を」

「いやぁーー!」



 じたばたと暴れる精霊王ツィタニアを抑えながら宗麟は彼女の髪の毛を切りそろえた。手鏡を渡す宗麟。



「ほれ、見てみ! ええ感じに揃ってるやろ」



 ツィタニアは少し髪の毛が伸びてきたからという話をすると切ってやろうかとハサミを見せたのでツィタニアは何も考えずにお願いした。

 そして切り始めて宗麟は生まれてはじめて髪の毛を切るというテロ行為を告白した。そしてその宗麟のテロ行為は……



「中々上手じゃないですか!」

「嗚呼、俺も自分の才能に驚いているわ、これは美容師ルートが確定したのかもしれんな!」

「将来ですか? 何か宗麟には夢などはあるのですか?」

「世界征服やな!」



 と冗談なのか本気なのかを言う宗麟にあきれるツィタニア。



「魔法が使えれば貴方を粛正するところですよ」

「しかし、その魔法が使えへん。今まで我々は異世界に行く方法を考えていたわけやけど、そもそもその魔法とやらが使えへんと無理ちゃう?」



 宗麟の言う事をツィタニアはよくわかった。今までやってきた意味不明な事も魔法の力ありきなら違った道が見えたのかもしれない。



「という事は宗麟、どういう事なんですか?」

「魔法の力を取り戻す」

「それはナイスアイデアですよ! 宗麟」

「でしょでしょ? 冒険でしょ? という事で、魔法ってさ、どうやって使えたの?」



 ツィタニアは考える。魔法の使い方、その方法。

 ツィタニアは両手を上に掲げた。



「おぉ! それっぽいやん」



 そしてツィタニアは言う。



「この状態で、ずーんとくる力をぱぁああん! と使ってしゅばばばば! みたいな感じで魔法は使えるんです!」



 そう誇らしげに言うツィタニアに宗麟は死んだような目で見つめる。



「宗麟、何か?」

「いや、精霊王サマ。説明死ぬほど下手すぎてびっくりしたわ。ほんとアンタ、精霊王なん?」

「し、失礼なぁ! 魔法なんて生まれて使えて当然なんですよ! それが突然使えないとなると説明のしようが……」



 宗麟はツィタニアの言い訳を無視してフラスコを見せる。コポコポと沸騰しているその液体。ツィタニアはそれに触れないようにしていたが、宗麟がそれを差し出す。



「ん!」

「いえ、飲みませんよ。何ですかそれ?」

「この俺の世界で唯一、存在している魔法の飲み物、サントリーが十年前に販売していたエリクサー、その十年物に青汁とブルーベリーアイとしじみ週間を混ぜてみた究極の飲み物だ。これを使えば魔法の力が戻るとか、戻らないとか?」

「ホントですか?」

「いや、知らんけど……」



 匂いを嗅いでツィタニアは吐きそうになる。そんな中宗麟はこういった。



「この世界のありがたいお言葉に、妙薬口に苦しという事ばあってな?」

「……じゃあ一口だけ」



 ツィタニアがトイレにこもり数時間、宗麟はさすがに謝罪する事になった。

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