第6話 病棟と住居と——

 住居を見つけても、ひとり暮らし。子どもたちは、しばらくは帰って来ない。


(淋しいなぁ……)ここの病院のクリスマス・お正月の食事は豪華らしい。


(住居でひとりぼっちでいるより、賑やかな病棟で年末年始を迎えたいなぁ……)


 あっ、私、淋しい気持ちが回復しているね。


 住居に子どもたちがいたとしたら——。あ~、またお世話が大変だ——と思う。


 いけない。私は病棟での暮らしが、すっかり気に入ってしまったのか? 


 それとも、まだ心のエネルギーが不足していて、生きる力が十分に回復していないのか? どっち?


 そういえば、関東に住んでいた頃は、子育てに苦痛を感じたことは——、なかった。いや、楽しかった。


 ということは、まだ心のエネルギーが不足しているんだ。


 生きる力がまだ十分には、回復していないんだ。子どもたちといっしょに暮らすのを、あせってはいけない。

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