(18)
「きゃー!! い、痛いわ! 暴力ハンターイ」
男爵が大げさに悲鳴を上げた。
一方、リナは怒りまくっている。
「男爵っ!! 今、ミュゼットさんはもっと痛いはずです! それにハイオークは鎧を着ているのに、なんでその――アレがそうなっているなんてことが分かるんですか!!!」
「あ、あら! あっちの方に関しては百戦錬磨のアタシを舐めないでよ! 鎧があってもそんなこと関係ないわ! アタシにはそれくらい軽~く透視できるのよ!」
なぜかムキになって言い合いを始めるするリナと男爵。
でも、僕がハイオークがミュゼットを食べようとしていることに気が付いたのは、もちろん股間の大きさではない。
ミュゼットを捕まえてから垂らし始めた尋常ではないヨダレの量と、ゲームの世界でのハイオークの特性――“ハイオークは人間の、しかも美少女の肉を好む”という事を思い出したからだ。
「とにかくユウトさん、それが本当だとしたら、何もたもたしてるんですか!」
リナが男爵の胸ぐらをつかみながら、僕に向かって叫んだ。
「いい加減、結界を破ってください!」」
やれやれ、僕までリナの怒りを買ってしまった。
完全にとばっちりだ……。
「あのー、リナ様、実は……」
僕はリナの神経をこれ以上逆撫でしないよう、恐る恐る言った。
「ミュゼットさんはたぶんこういう展開になることを予想してずっと戦ってたはずです。――まあ、さすがにハイオークに服を脱がされるとまでは思っていなかったでしょうが」
「ええええ――?!」
びっくりするのは二度目のリナと男爵。
喧嘩しているのも忘れ、お互い顔を見合わせている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます