(5)
すでに結論を出すに十分な時間は経った。
そして――
アリスは何も言わず、魔法少女セフィーゼの方へ向かって歩き出した。
「アリス様、いったどうなさるおつもりなのですか?」
レーモンが焦って、前に行こうとするアリスを呼び止める。
「降伏する」
「な、なんと!?」
レーモンが驚愕して叫んだ。
「イーザの狙いは私だ。私の首を差し出せば彼らも満足するだろう。そうすれば兵士たちは皆、助かる」
と、アリスは平気な顔で言う。
やっぱりか。
思った通り、アリスは自らを
あるいはロードラント軍が危機に陥っちいったのは、すべて自分の判断ミスにあると考え、そのけじめをつけようとしているのかもしれない。
確かに、組織に何か不始末があれば、最終的に責任を取るのはその長=アリスというのが道理。
とはいえロードラント軍の撤退が遅れたのは、アリスが第一軍と第二軍の敗走する兵士を救おうとしたからで、その点については誰も彼女を責められないはずだ。
「アリス様、そんなこと言ってはなりません!」
レーモンはアリスの降伏を断固阻止するべく叫んだ。
「もしあやつらの捕虜になれば、アリス様はいったいどのような扱いを受けるか! もしアリス様の身に何かあれば、私たちは全員死ぬしかありません」
「バカを言え! それでは私が捕まる意味がないではないか。――よく考えてみろ、レーモン。イーザに無謀な戦いを挑んで
「いいえ、アリス様一人を置いてどうして王都に帰れましょう。それだけは絶対にありえません!」
――自分たちの身はどうなってもいいからアリスの命だけは守る。
王室に仕えるレーモンたちにとっては、そう考えるのが当然だ。
でも、一般の兵士――トマスのように食べるために軍に志願した人や、徴兵された人たちの気持ちはどうなんだろう。
たとえアリスが犠牲になっても、自分たちは生き延びて
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