(4)
「奴ら、許せん……!」
ロードラント軍の正面中央にいたレーモンが、憤然とし叫ぶ。
怒りに震え、今にも前に飛び出して行きそうだ。
「レーモン、落ち着け!」
只ならぬ様子に気が付いたアリスが、レーモンを諭す。
「下手に動けば連中の思うつぼだぞ!」
「アリスさま、ですが――!」
と、食い下がるレーモン。
「待てと言ってっているのだ。レーモン、頼む、私に少しだけ考える時間をくれ。結論はすぐに出す」
アリスはあくまで冷静だ。
どうやら、いつの間にか二人の立場は逆転してしまったようだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
しかし――
アリスはこの絶体絶命の状況下、いったい何を考え、どのような結論を出そうとしているのか?
いや……。
アリスでなくとも、思いつくことは一つしかない。
すなわち――降伏だ。
コボルト兵は人外の化け物だが、イーザ兵は違う。
言葉も通じるし感情もある人間だ。
確かにここで降伏すれば、彼らも、ロードラント兵の命だけは助けてくれるかもしれない。
だが――
ロードラントの王女であり、この軍の名目上のトップであるアリスの処遇はいったいどうなるのだろう?
捕虜として連行されるのは確実として、その後は?
和平の交渉材料になるのか、最悪命を奪われるのか――?
そうでなくても悲惨な目に合う可能性は高い。
かといって今のロードラント軍にはもう、イーザ軍とやり合う戦力は残っていない。
無理をして戦っても、おそらく一方的な
結局僕たちが生き延びる方法は、降伏するより他はないのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます