(14)
ハイオークは竜騎士を見下ろし不気味に笑うと、体の動きを止め、突然のどを鳴らし「ぶうっ」と
「危ねえぞ!! ユウト『ガード』だ」
エリックが叫ぶ。
僕は言われるままに『ガード』の魔法を唱えた。
瞬時に透明の壁が発生し、周囲を囲う。
なんとか僕とリナ、エリックの三人を守れるくらいの防御壁を作ることができたようだ。
その直後だった。
ハイオークは
といっても、それがはっきり目に映ったわけではない。
あまりに速すぎて、“ハイオークが口から何かを吐き出した”ということしか分からなかったのだ。
だが、あちこちで竜騎士の悲鳴が上がった。
同時に僕たちの周りで「ビシッビシッ」と音がした。
飛んできたその“何か”が、『ガード』の魔法の壁に当たって跳ね返ったらしい。
いったいなんなんだ? と、馬上から目を凝らし確認すると――
無数の小さな金属の球が、草むらに転がっているのが見えた。
「なんて野郎だ。胃の中に鉛玉をため込んでやがった」
エリックが唇を噛んだ。
「吐き出しただけなのにとんでもねえ威力だぜ」
まさに間一髪。
『ガード』の魔法を使っていなかったら、軽装備の僕たちは確実にハチの巣になって死んでいた。
しかし、
ハイオークを縄でからめ捕った竜騎士が五、六騎、弾丸の直撃を受け落馬したのだ。
至近距離過ぎて、鋼鉄の鎧も役に立たなかったらしい。
特に突撃に失敗し、ハイオークの真正面に立っていた竜騎士は悲惨そのもので、馬もろとも鉛の弾に打ち抜かれ全身穴だらけ、血を吹き出しながら死んでしまった。
もしエリックがハイオークに向かって行くのを止めてくれなかったら、僕とリナも彼と同じ運命をたどっていただろう。
「クソッ! まさに『隠し玉』だな」
エリックがやりきれない表情で、冗談ともつかないセリフをつぶやく。
もちろん誰も笑わない。
逆にリナは目を真っ赤にして泣き始めた。
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