(4)

 アリスたちを残し、円陣を出た途端――


 うわっ!

 すごい数……。


 戦場は見渡す限りコボルト兵で埋め尽くされていた。

 あまりの数の多さに、ただただ圧倒されてしまう。


「進め進め!! 雑魚にはかまうな!!」

 マティアスが声高に叫ぶと――  


「はッ!」

 と、竜騎士たちが力強く呼応した。


 そこからが圧巻あっかんだった。

 竜騎士たちは行く手を阻むコボルト兵を馬で踏みつぶしたり、長槍でぎ払ったり、まるで電動芝刈り機で雑草を一気に刈り取るような感じで、どんどん前へ進んでいく。


 不意を突かれたコボルト兵は、慌てて弓や手投げ斧などの飛び道具で反撃する。

 しかし竜騎士たちはそんな攻撃ものともしない。

 槍や盾ですべて跳ね返してしまう。


 すごい!

 この人たち強すぎる!


 僕は敵の真っただ中にいるのも忘れて感心してしまった。


「ほらな、これが竜騎士の真の強さだ。連中、やっぱり守るより攻める方が得意なんだな」


 エリックはそう言いながら「おっと」と、手に持った長槍を素早く横へくり出す。

 すると――


「ギャッ」


 という叫び声がして、コボルト兵が地面を転がっていくのが見えた。  

 馬に飛びつこうとしたコボルト兵を、エリックが槍で一突きしたのだ。


 軽々やってのけたように見えるが、そんなことない。

 猛スピードで走る馬を乗りこなしながら、敵の急所を狙うのはかなり難しいはず。

 エリックの戦闘力も、竜騎士に決して引けを取っていないということだ。



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