(13)
迫りくるコボルト兵を前にして、レーモンが兵士たちに再び号令をかける。
「ひるむな! 全員ただちに第一防御陣形を取れ! よいか、アリス様に指一本触れさせるな!」
レーモンに指示に従い、竜騎士と兵士たちは全速力で移動し陣形を組み直す。
もし陣形が完成する前にコボルト兵に突っ込まれたら一巻の終わり――
ロードラント軍は即、崩壊するだろう。
みんなそれが分かっているから、死にもの狂いだ。
それからわずか一分ほど。
全員一丸となった
その直後、コボルト兵の大軍が武器を振り上げながら押し寄せてきた。
兵士たちは槍や剣を構え、負けじとこれを迎え撃つ。
こうしてアリスを護衛するロードラント軍と
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その時、ヘッドセットから騒がしい声が聞こえてきた。
すっかり存在を忘れていたあの人だ。
「ちょっと有川君! 有川君ってば! 聞いてるの?」
セリカだ。
現実世界から呼びかけているのだ。
しかし、またかよ!
この切羽詰まった時にいったいなんなんだ!
――と、少なからず腹が立ったが、やっぱり無視するわけにもいかない。
ごく小声で呼び掛けに応じる。
「あのさ、
「ついに始まったのね、本格的な戦いが!」
と言うセリカの声は、心なしはずんでいた。
やっぱり!
こちらの世界に来たからずっと感じていたことだけれど――
どうもセリカは、僕が危険な目に合うことを楽しんでいる節がある。
もしかして彼女、ドSないじめっ子なのか?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます