【次回予告】はチートスキルですか? いいえ、特にそんな事はなかったのでケモ耳美少女の嫁のご両親方に鍛えられてから異世界を廻る事になりました。 三界見聞録〜陸の書〜
第33話 これはきっと闇属性だから、これで六属性揃ったって事で
第33話 これはきっと闇属性だから、これで六属性揃ったって事で
魔道具が使えない……ティアナの家ではコンロを使ってお湯を沸かしたり、風呂にも入ったのに何を言っているのだろう。
そんなことを言う前に、ティアナは縛り付けている光の鎖を振り解いて自分の手で飯を食うべきだと思う。
「なんでソラまで意外そうな顔してるの?」
「いや、だって……コン、ロ……とか、風呂……とか、使……」
ああもう、身体が高速スクワットを始めたせいで喋りにくい! ってか喋ってたら息続かない。
「使ってないよ? 確かにコンロとお風呂は使ってだけどソラ自身の魔法でどうにかしてたから魔道具は使ってなかったよ?」
「……、あっ!」
そうだわ、ティアナの言う通りだった。
「このままだとトイレが詰まってしまうわね。
ウナ、
「昨日ティアと話してて使うかな? って思って、ティアのご飯持ってくるついでに」
ティアナにご飯を食べさせているウナの左手には黒い腕輪が四つぶら下がっている。あれが
「マシヴ、リングを装着するからキリのいいとこで中断してちょうだい」
「それはいいけど、
「大丈夫、その機能は切っておくから」
マチヨさんの「大丈夫」の一言でマシヴさんの動きが止まり、筋トレ地獄から一時解放される。
それは束の間の休息に過ぎず、黒い輪が両手首と両足首に装着され鍛錬という名の筋トレが再開される。金属製の輪、大した重量じゃないけど筋トレのしんどさが増した。あと、なんか不穏な事言ってなかったかな……「機能は切っておく」って。
「じゃあソラ君、リングを光らせて」
やり方分からないっての。
「ソラ、こうギュワーって感じに魔力を流せば光るから頑張って〜」
「ティアナちゃん、ソラ君の応援してる場合?
早いとこ脱出しないと、おやつ抜きよ?」
「ちなみに今日のおやつはティアの好きなベリーのケーキだから」
その
光の鎖が軋み、少しずつ地面から抜け始めた。
って、感心してる場合じゃない。この黒い
よし、ギュワーっとだったな。
いざ、ギュワー……ギュワー……ギュワーって何だろう。いや、魔力を流して光らせるんだった。
魔力は身体から抜けてく感覚のあったアレか。
魔力の動かし方なんて分からないから、とりあえず黒い輪達に意識を向けて……向けて……向け……って無理! 立ったままツイストクランチを始めた身体のせいで集中できない。
いっそのこと筋トレに集中してやろうか。
両手を頭に当てて、上げた脚の膝と逆の肘を……くっつける! 腹筋の収縮を意識してもう一回!
「いいよ! ソラ君! 気合入ってるね!
次は逆の脚と肘でいくよ!」
「いいわ! ソラ君! その調子よ!
って、そうじゃなかったわ。リングを光らせて」
筋トレに集中してもリングが光るわけがないな。
でも、どう光るんだろうか? LEDの懐中電灯みたく、こうピカッと。
「あ、光った」「え、本当? ウナちゃん」
「光過ぎね……ってソラ君、そうじゃないわ」
リングから手の方へLEDライトの光くらい明るい光が照射されている。
現在腕立て中なので地面が眩しい。
「魔力を流すとリング自体が輝くように光るの。
ソラ君……また新しい魔法覚えたのね」
この光り方は違うらしい。
意識すると光の強弱を変化させることができた。
あ……これ、点火魔法の火を弱火や強火にする時と同じ感覚がする。俺の魔法だな、これ。
魔法の光は消して、再度リングを光らせるために魔力を意識する。
「あー、ダメだ光らん。う、眩しっ……もが」
リングが光ったわけではない。
補給食のタイミングになったので立ち上がらされたとこに、傾いてきた陽射しが眩しかっただけだ。
しかし、毎回鼻を摘まれミルクで溶いた補給食を流し込まれるのはやめてもらいたい。
いい加減自力で飲み込むだけの余裕は出てきた。
「マチヨ、僕にも補給食分けてくれないかい」
「分かったわマシヴ。今飲ませてあげる! ウナ、ちょっとソラ君に飲ませるの代わってちょうだい」
「あ、うん。分かった」
「あー! ウナちゃんずるい! 私もやりたい!」
「なら、おやつ食べるの中断したら?」
「あ、じゃあ次の番が私ね!」
ティアナはおやつを食べる事を選んだようだ。
そして、俺の鼻を摘んで補給食を流し込む役目がウナに代わった。
「……ふぅ。ウナ、もう自力で飲めそうだから鼻を摘むのやめてほしいんだけど」
「分かっ……」
「ウナ、ティアナちゃん、ソラ君の飲み込むのが遅かったら容赦なく鼻を摘んででも飲ませるのよ」
「「はい」」
ゆっくり飲むわけにはいかないか。
そんなつもりはなかったけどね。本当に。
あーでも、マシヴさんが補給食を取っている間は休めるな。陽射しは眩しいが。
マシヴさんも眩しかったのか、手をかざしてくれた。そのおかげで俺の身体も手をかざすように動き眩しさが和らいだ。
あ、でも筋トレ再開したら眩しいまんまじゃん。
こう、なんかサングラスとか日傘的な太陽光を遮る黒いヤツないかな……。
「ね、ねぇソラ? それ……何?」
「え、何が?」
「お父さん! 腕、ちょっと振ってみて」
何かに気づいたウナの呼び掛けに答えて、マシヴさんがかざしていた腕を振る。
当然、連動して俺の腕も動く。
すると陽射しが更に和らぐ。
日陰にでも入ったかのような気分だ……なんて感じてる場合じゃないな。
振った腕の軌道に合わせて黒い膜のような物が発生している。軌道が交差した部分なんて完全に光を遮断しているし、なんだコレ……いやまぁ俺の魔法なんだろうけど。
「遮光……いや、遮光と偏光の魔法かな」
「ソラ、偏光って何?」
「確か、一方向の光波しか通さないんだったかな。
だから偏光する膜を直角に交差すると光が通らなくなる……でも、単品でこんなに黒かったっけ?
そういえば偏光で水面の反射を抑えてくっきりと見えるとか……あ、色が薄くなった」
ウナに聞かれて偏光について考えながら喋ってたら黒っぽかった膜の色が薄くなっていった。
だが、交差して重なった膜は交差角度が直角に近づくほど光を遮っている。
どうなっているんだろう、これ。
「黒かったのはソラ君が偏光に対して黒いイメージを持っていたからよ。で、偏光に対するイメージを変えたから色が薄くなったの。それにしても変わった魔法ね、これ」
マシヴさんに補給食を食べさせ終えたマチヨさんが近寄ってきながら解説してくれた。
目の前まで来て、魔法で出現した黒い膜を不思議そうに触れて確かめている。
距離が近い……おっと、身体が後ろに下がった。
嫉妬かと思ったが違った、筋トレを再開するのに必要なスペースを取ろうとしただけのようだ。
しかし、ここにきて新しい筋トレかよ。
立った状態からしゃがみ、地面に手をつき跳ねるように足を後ろに伸ばして腕立ての姿勢。続いて、素早く足を戻してしゃがみ姿勢からのジャンプ。
着地後はまたしゃがみ、同じ動作を繰り返す。
バーピーだわ、これ。しかもジャンプするヤツ。
おまけに段々とテンポが上がってきた。
ぇ、まだ上がるの!?
ちょ、……もぅ無——、限か…………
危うく意識が飛ぶところだった。
意識が飛ぶ一歩手前でバーピーを終えてくれたのはいいが、マシヴさんもしかして怒ってたのかな。
「……——もがぁ」
呼吸が限界寸前の所で補給食を突っ込まれ、鼻を摘まれそうになったので慌てて一気に補給食を飲み込んだ。今、口塞がれて鼻も摘まれたら死ぬって。
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