第322話 これって幸せ

 思い出せばきりがない。

 きりがないのが人生だ。

 ソファでキーボードを打っていると、スコちゃんが通りすがる。


 明らかにわたくしの様子をうかがっているのに、それはいつものことなので見て見ぬふりのわたくし。

 はた、と手を止めてボールをとってくると、投げればスコちゃんが追いかける。

 ああ、遊びたくて近寄ってきていたのだ、と初めて気づいた。


 母がテーブルで書き物をしていると、ばーん! とそこに寝そべるのも、なにか意味があるのかも。

 写真を撮ると、母を見つめる目つきが険しい。

 なにか言いたいことがあるのかも。


「大好き」と手を差し伸べれば、なーんだ、という感じによそへ行ってしまうスコちゃんですが、ただクールというのではなくて、意思疎通が人間側に足りてないだけなのです。

 だって、スコちゃんは「大好き」と言ってほしいのではなく、遊んでほしかったのですから。

 今度からは「なにがしたい?」と聞いていこうと思います。


 あと、マットに爪をひっかけて「うん? うううう……」ってやってるの、個人的に好きです。

 スコちゃんはちょっと隙があるところがいいですね。

 いじる習慣がないので、退屈させているかもしれませんが。


 今度から、もうちょっと盛り上げていこうかと思っています。






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