第270話 へちゃっ

 このごろ、スコちゃんの行動パターンがすごくかわいい。

 ベッドに寝そべる私の足に抱き着いてきて、前脚でコイコイと招く。

 なんだか招かれてるなあと、起き上がって彼女を見ると、上半身をふわっと持ち上げ、ぴょんこ! として、てっててー! っと駆け去る。


 遊んでほしいのだ。

 こいつめ、かわいいなと思って、ころんと倒してやろうと右側からそっと圧をかけた。

 そうすれば、押されてなるかと力を込めて現状維持をしようとするはずである。


 そして、ぐっと力を込めたタイミングで、反対側から圧をかければ、あらふしぎ、コロンっと行く……予定であった。

 しかしこのスコちゃん、いたって無垢で疑いようのない箱入りである。

 右から圧をかければ、左へくたっ、左から圧をかけても右へくたっとへなる。


 うーん、無抵抗。

 今日なんて、かまえかまえと足元へ抱き着いてくるから、背後から前脚をこうとって、持ち上げてやった。

 するとスコちゃん、くたっと後ろへ尻もちついて、へたった。


 抵抗、というものを知らない娘である。

 ちょっと意外。

 廊下で後ろ脚を両方持ち上げてやったら、今度は全身から力を抜いて、ころんっとヘソ天になった。


 いくらなんでも。

 無防備すぎない? おなかをさすると、前脚でちゃいちゃいする。

 無邪気じゃのう……。


 ああ、そんな君がかわゆすぎ!

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