第174話 2020/04/08/水 スコちゃんはわかっている。

 先代のアメショもそうだったのだけれど、ペットサロンドリスからお迎えした子猫は、お風呂場に行きたがる。

 そしてお水を怖がらない。

 むしろ、「洗ってほしいにゃ……」という風情を見せるのだ。


 で、私はスコちゃんに確認するようにその様子を見つめた。

 猫ってお水嫌いじゃ……お風呂入りたいの? なんで?

 スコちゃんはテレパシーで返事をしてきた。



『毛が抜ける時期だから……』



 そか。

 うん、わかった。

 反論も疑問もなく、マイクロ雑巾を用意し、お湯を洗面器に張る。


 さて、と、うつむいていた頭を上げ、洗面所を見ると、隅っこの方に、ちんまりとしたスコちゃんの姿がある。

 おいで、というと動かないが、大した抵抗もせずにお風呂場にくる。

 じゃばーっとおしりからお湯をかけてあげた。


 毛が抜けるからというから、すこし乱暴気味にこしこしこすって、ドアをあけ放つ。

 スコちゃん脚をふりふり、逃げていった。

 さあ、マイクロ雑巾、稼働! わしゃわしゃわしゃー! はい、あとは自然乾燥を待つのみ。


 スコちゃんは私の部屋に入って、いつものくつろぎの場所へ。

 お気に入りの場所が、複数あるっていいわね、そう思う。

 今日は暖かかったから、忘れてたけれど、エアコンスイッチオン。


 すぐ乾いたんだから、問題はないはずなんだけれど、スコちゃんの様子がおかしい。



「ん……ん……」



 って、悲しそうに鳴くの! えー? って思って。

 キャリーハウスの中を覗くと、ちゃんと丸まっているんだけれども気になって、テレパシーを送る。



『具合悪いの?』


『具合わるいの……』


『背中? お腹? どこ?』


『背中……』


『かゆいの?』


『かゆいの』



 そうか、病気じゃなさそうだし、なでなでしてあげたら、具合良くなるかもしれない。

 なでなで……強い方がいい? それともやさしく?



『やさしく……』



 そうか。

 なで……なで……こんな感じ?



『かゆい……』



 じゃあ、強く?



『強く……』



 はいはい。

 というわけで、いつもは嫌がるブラッシングを、さわさわとかけていって、抜け毛を窓からポイする。

 くり返して、だんだん強くブラッシング。



 嫌がらないんですね。

 気持ちよさそうにしてます。

 おなかもかゆいっていうから、前脚を持ち上げて胸のあたりをブラッシング。


 すやすや眠ってしまいました!

 ピンクの猫用ベッド、使ってくれてうれしいわー。

 こんなに気に入ってくれるんなら、もっと早く買ってあげればよかったと思いました。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る