第115話 2020/01/25/土 貫禄。

 もう、TVや母の足音ごときでは、反応すらしなくなりました。

 スコちゃん、祖母のイスですやすや眠っています。

 ほっとするやら、心配するやら。


 ほっとするのは、いいんです。

 落ち着いてきたわね、って感じで。

 だけど、いろいろなことを加味して考えて、すねてたり怒ったりするのを諦めているのだとしたら、せつない。


 私はそこまでわからない人間ではないつもり。

 スコちゃんが入り口付近で、ふてていれば「どうしたの?」と声をかけるし、わけも聞く。

 まあ、今日のところはなんていうか……。


(妄想語り入ります)



「わたしは人間に敬意を払っているのに、人間はわたしに敬意を払わない」



 なんか怒って……らっしゃる。



 ちなみに、猫にとっての敬意を払うっていうのは、「仲よくしましょうね」って寄っていくことらしい。

 では、人間がどうすればスコちゃんに敬意を払っていることになるのか、それは……。



「わーっと寄ってってイチャイチャすること」



 らしいです。



 母に、ダメもとで言ってみたら。



「私は動物嫌いだから」



 って、断言された。

 そんなこと、言ってなかったじゃない!

 小動物に優しくない人は、心が冷たいんだよ!?


 訴えて、怒って、頼んでもだめだった。

 母にとって、猫の腹をなでてやる、という行為は己の道を外れることらしかった。

 何にそんなに拘泥しているのかわからない。


 以前、妹がお盆でお相手の実家へ行くときに、ハムスター(キンクマ:Tくん)を預けていったときは、そんなこと一言も言わないで放置していた。

 餌もおやつも、結局気づいた私が与えていたのだ。

 預かっておいて、無責任な!


 とは思えど。

 動物嫌いなんじゃ、しかたないよな。

 これからどうしよう。


 スコちゃんの前途が少し暗くなって見えた。

 私だけでも、スコちゃんに敬意をしめそう。

 なでなで。


 なーでなで。



 ん、ちょっと機嫌がよくなったぞと。

 リラックスした仕草で、わかるようになってきました。

 毛づくろいは、私のなでなでが気持ちがいいから、するものらしい。


 ご褒美は、鼻の頭をなーめなめ。

 うれしいわ。

 猫の敬意って、とっても気持ちがいいものなのね。


 あらあら、そこまで? 熱烈~~。

 ムフフ……。

 なーでなで。






10

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る