第84話 2019/12/25/水 初めてのクリスマス!

 ジングルベール、ジングルベール♪

 生まれて初めての、スコちゃんと過ごすハッピークリスマス!

 いつもと何が違うって? すべてがちがーう!


 まず、飾りは電飾と小さなリースだけにしたでしょ? お気に入りの銀色のツリーも、一年に一個ずつ買い集めたトップスターも飾らない。

 ルピシアのクリスマス限定のお茶もカシュカシュ(かくれんぼっていう意味)じゃなくホワイトクリスマスにした。

 ここのところ毎年一人だけで楽しんでいたそのお茶を、やかんに熱湯をわかして、たっぷり作って家族にふるまった。



(母に借金を返しきれなかったから、プレゼントの代わり)



 ホワイトクリスマスは、クッキーみたいな焼き菓子の香がする不思議な紅茶で、ついミルクや砂糖を投入したくなります。

 そお、いつもはお茶に砂糖など入れない祖母が、あまりの香のよさに欲をだしてミルクと一緒に入れて飲んでました。

 カシュカシュは、先代の愛猫が亡くなってからずっと愛飲してたのですが、今年はスコちゃんがいるもんね。


 カシュカシュは淹れたときと、口に運んだ時と、飲んだ時とほっと息をついた時、それぞれ別の香がしてすっごく楽しいんだから。

 まるで繊細な思い出が周囲にあるみたい。

 ふとしたときに気づく孤独感の中にも、そこここに現れる、幸せな記憶。


 ホワイトクリスマスは、まさにあまあい、うれしさのあふれるお味。

 大量に作ったから、余るかなと思ったけれど、そんなことはなく、次の日もやかんで作った。

 ぼこぼこ煮立ったお湯に、お茶ッパを入れたパックを落として2分半。



 冷たくなっても、いい香りのする飲み物として、とても歓迎。



 甘い水と、いい香りのする水があったら、後者の方が特別感があると思いました。

 甘い水って言ったら、砂糖水みたいだもんね。

 気の抜けた、サイダーとかみたいに。



 そして、私はイヴから決めていた。

 クリスマスの夕飯に、スコちゃんにはサーモンを食べさせてあげるんだって。

 暗くなってからスーパーへ行ったら、天然マグロの切り落としが半額になっていて、良さそうだからこれも買い、サーモンストラウト(チリ産)2パックとブリの刺身を買った。


 慣れないセルフレジに小銭を入れつつ、気分は高揚していた。

 空気が冷たく寒い道のりを歩きつつ、スコちゃんのことだけ考えていた。



 スコちゃん、喜んでくれるかな。

 おいしいって思ってくれるかな。

 食べてくれるかな。



 そればっかり考えて、息を切らしながら帰ったら、家の中の空気が暑く感じて、すぐにコートを脱いだ。

 部屋に入って、テーブルにPCとマイク、刺身を置くと、キッチンからお皿二枚と箸一膳持ってきた。

 スコちゃんを呼んで、オーダシティー(録音機能があるソフト)で、食事風景を実況するのだ!


 あわよくば、ココミュにあげようと思ったけれど、まず、スコちゃんがいつもと違うお部屋で食事するというのが、ピンとこなかったらしく、いつもの部屋の前から、なかなか動いてくれず、何度も身をかがめて頼みこむようにして収録部屋に来てもらった。

 お皿を一枚、床に置いて、さあ、ディナーの始まりです! マグロの切り落としをはんぶんこ! サーモンは丸ごとあげちゃう。

 ブリはキッチンバサミで縦に半分こ。


 だけど、ああん。

 スコちゃんにまぐろ55グラム、サーモン76グラムその他は、多かったみたいで、大半を残されてしまった。

 しかも、収録は容量オーバーで、サイトには上げられませんでした。


 来年はまぐろオンリーにしようと思いましたが、ブリもサーモンもまったく好きじゃないというわけでもないらしく、次の日ラップして冷蔵庫に入れておいたのを、三回に分けてあげたら、食べてくれました。

 ここのところ、珍しく、ごろごろいって顔を洗ってました。

 お昼なんて、ベッドの上で私の脇にぴたーっとくっついて寝てましたからね。


 気に入ってくれてよかった。

 写真も二百枚以上撮って、ツイッターにあげました。

 表情豊かでおもしろいですよ。






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