第46話 スコちゃん、スコちゃん、ああスコちゃん。

 とんでもない日だったというのに、おいしく夕食をいただいて、スコちゃんを訪ねた。

 だけど、勇気がないからライトは消したまま。

 廊下の灯りも消したから、中は真っ暗でよく見えません。


 入り口付近で腰をかがめて、



「スコちゃん、いる(いるに決まっている)?」



 というと、みゃあ、と返事が。



「ちょっとこちらへ来てくれるかな、見えないの」



 と言ったら、ベッドから降りた足音がして、ててっと寄ってきてくれたのが分かった。

 頭とのどをなてで、ああよかったと思う。

 手に持っていたのはティッシュでくるんだフード50粒。


 ぼんやり見えてきたスコちゃんの背中とベッドの間をすり足でかいくぐり、エサ入れにフードをいれた。

 食べてくれてる。

 しかし、意外と順応性が高いみたいで、ぺろりと完食。


 私、ベッドのそばにある下、蜂ぶんぶんのとれたところに色あせたラッピングリボンを結んだものをゆらして、反応を見た。

 母が廊下の灯りをつけたらしく、ほんのり部屋の中が見えてくる。

 猫は視力じたいはあまりよくないらしいから、このくらいがちょうどいいのかもしれない。


 そう思って、リボンをぴょんぴょん、ひゅんひゅん、すさささーと動かしてじゃらした。

 我ながら、生きものみたいに動いてくれるリボン。

 床の上でとびかかってきたと思うや、ベッドに撤退させたリボンに、一気にとびかかってきたりと、狩りの腕は確かに上がっている。


 もう、疲れたようだから、部屋を出た。

 今度こそ、リビングで寝ます。

 そっとしておいてあげないとね。






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