09.ベースキャンプに行こう!
俺達ウニキャン一行は第六層は無事に突破して第一〇層に来た。第一〇層にはベースキャンプがあるのでまずはそこに寄って行こうという寸法である。キャンプの様子次第では商売をやっても良いしな。
第一〇層は森林地帯だ。樹木があるため走り難いが進めないわけではないのでベースキャンプのあるボスマスまでひた走る。
ボスマスに辿り着いたら向こうの方から人がやってきた。
「こんにちはー」と俺。とりあえずウニキャンから降車する。
「魔導車でやってきたとのか?」
「そうですよ」
なんか信じられないような顔や呆れたような顔してジロジロ見られているのだが……。おかしかったかな?
奥から偉い人ぽい人が三名やってきた。とりあえず挨拶すると、それぞれチーム・デルタ、チーム・タンゴ、チーム・ロメオのベースキャンプ・リーダーだそうである。
「君はどこのチーム何だね?」とデルタ・リーダーに聞かれる。
「チームには所属していませんよ、ここには商売と観光できました」
「「「なんだって?」」」と三人が同時に驚いている。そんなに驚かれても困るのだが……。
「よく魔導車一台で支援無しでこれたな」とタンゴ・リーダー。
「非常識ですよ」とロメオ・リーダー。
「それは置いといて、屋台をやっているのですが需要はありますかね?」
「「「置いとくのかよ!!」」」
「で、どうです?」
三人は思案顔になって暫く考えていたが。
「そうだな、そろそろここにキャンプを設営してから三週目に入る所で食事も単調になっている」
「保存食ばかりで飽きているのは事実」
「どんな食べ物があるのかい?」
とそれぞれのリーダに聞かれるので一応用意してあった回答を言う。
「みぞれそばがありますよ」
「みぞれそば?それは一体どういうものかね?」
「そば粉で作った麺に温かいスープを掛けて食べるのですが、そこに大根おろしを載せたものですよ。少し寒くなってきたこの季節にはちょうど良い感じの食べ物ですよ。ちなみに大根おろしがみぞれが降り積もったように見えるのでみぞれそばと言います」
ラーメンを出した時に思ったのだが、日本人的に江戸時代からあったと言われるそばの屋台。夜鳴きそば。それを思い出してやってみたかったんだよね。大根に似た野菜も市場で見つけたのでやってみたかったのだ。そばの乾麺と麺つゆなら箱買いしていたので充分あるしね。
さて、この世界の植生について少し解説をしておかねばならない。人間や動物が転移されていることは今まで触れているが、実は植物もである。地球産と全く同じものではないが近接種の野菜を市場でもよく見かけるのだ。もちろん地球以外の異世界の植物もあるので地球では見かけない物もあるにはあるのだが、地球と似たような味のものは探すと結構あるのであった。
その中には大根もあったのである。
各チーム・リーダーの感触も良かったのと許可も貰ったので屋台をすることになった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます