第三章 未定
第22話 ファッションヤンキー、報告する
前回のターンアタックですが、威圧眼同様レベル式にサイレント修正しました(公言)
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コング・コング・コングを倒し戦果確認した後、ちょうどいい時間だったのでウーノの街に戻ったところで一旦ログアウトし、お昼ご飯を食べたよ。そんで宿題昼の部を片付けて再ログイン。
さて、コング・グローブの売りさばき方法をパックンさんに聞かねば。あとついでにゴリラ倒したこと報告しておこう。どーせパックンさんの事だから噴水公園にいるでしょ。……ハッ、そもそもログインしていない可能性を忘れていた!慌ててフレンドリストを確認したら、パックンさんは、ちゃんとログインしていた。さ、改めて公園に……いや、おるやん。公園へ向かう道からこちらに向かって歩いて来てるのは紛れもなくパックンさんだ。
「よぉパックン!」
気付いてもらえるように大声を出し、大きく手を振る。ふふ、自慢じゃあないけど私ははぐれた時、これで大抵見つかるのさ!頭一つ飛び出ているからね。それはさて置き、パックンさんはちゃんと気づいてくれたようで私に気付くと軽く笑いながらこちらに近づいてきた。
「オウカじゃない。……なかなかいい装備着てるわね?似合ってるじゃない。」
「じゃろ?いい人見つけたんよ。」
「そ、良かったわ。で、その新装備でコング・コング・コングに挑むのかしら?」
「ゴリラはもう倒した。ぶち疲れたけどのぉ」
パックンさんの質問に少しばかり胸を張って答える。ふふん、ドヤァ。
少しは驚いて褒めてくれると思ったんだけれど、パックンさんの返しはそっけない物だった。
「あら、おめでとう。」
「……一応ソロで倒したんじゃけど?」
「ふぅん、凄いじゃない。アンタ的に第二形態、辛かったんじゃない?」
「まぁそこは噛み合うスキルがあったけぇ……ってもしかしてソロ討伐ってそんなに凄くない?」
「凄いけど真新しさは無いわね。弱体化ゴリラのソロ討伐は結構いるものよ?」
なんだ、結構いるのか……ドヤッたのがちょっと恥ずかしいまであるよこれ。まぁ今日でサービス開始から3日目だし同じ事やる人いてもおかしくはないか。
じゃあもしかして、私の手に入れたコング・グローブもあまり価値がないのかな。
「ちなみにこれドロップしたんじゃけど……」
「アンタ、グローブドロップしたの!?」
インベントリから取り出たコング・グローブを見せると、パックンさんの表情は驚愕のそれに変わった。待って、ゴリラそのものよりこっちの方が反応デカいんですか。
私のとぼけた顔にパックンさんは大きくため息をついて説明してくれた。
「コング・グローブはね、ゴリラのドロップアイテムの中で一番確率が低いレアドロップなのよ。私達が倒した初期ゴリラは確定ドロップだったんだろうけど、弱体化ゴリラは中々落とさないみたいなのよ。ま、ドラミングしなきゃいけないことを除いたら優秀だからね。」
やっぱりパックンさんからしてもドラミング部分は微妙なんだね。私もドラミングはしたくない。
確率のほどを聞いてみると、コング・グローブを求めてゴリラを倒し続けた人は実際にいたみたいで、その人曰く55体目でようやくドロップしたのだとか。その人背後にゴリラの霊憑いてない?大丈夫?
しかし、そんなに確率が低いのであれば高く売れるのでは……?
「じゃあこれ売れるん?」
「売れるけど……売るの?アンタ木刀渡したけど元々メリケンサック持ってたわよね?肉弾戦に持って来いよこれ?」
「え、学ラン着てボクシンググローブ付けたヤンキーって私のイメージに合わないから嫌なんじゃけど……あとドラミングも嫌じゃ。」
「判断材料そこなのがあなたらしいわね。」
「パックンがこれをメリケンサックに改造できるなら売らんけど?」
「寝言は寝て言いなさい?」
ですよね、流石にボクシンググローブを金属製のメリケンサックに作り替えるなんて無理だと思っていましたよ。
ということで、持っていたところで死蔵することは確定。ならば必要としてくれる誰かにあげてお金にした方がゴリラも浮かばれると言うものだね!
「という訳で売ってほしいんじゃけど。」
「自分で売らないのかしら?」
「噴水公園で私が風呂敷広げてボクシンググローブだけを置いて腕を組んで胡坐をかいてる俺を思い浮かべてみぃ。」
「決闘相手募集かゴリラを悼んでいるようにしか見えないわね……」
その通り。いや、他に売るものがあるならもうちょっとマシに見えるかもしれないけれど、グローブ以外に売れそうなものないしなぁ。
その点、パックンさんの露店に置いてくれるのであれば誰かしら買ってくれること間違いなし!
「頼む!売れたら手数料引いていいけぇ!」
「……アンタのことだから値段設定分からなそうだから私が決めるわよ?」
「ちなみにどれくらいなん?」
「そうね……16000辺りかしら?」
そんなに価値あるの!?ゴリラになるかもしれないフレーバーテキスト付きのこのグローブが!?
パックンさん言うところにゃ、攻撃性能もあるがミソは雷属性付与できる点らしい。序盤で属性付与できる武器は重要視されるみたいでそれが値段に反映されているとのこと。
「本当にその値段で売れるん?」
「売れるのよね、これが。正直もうちょっと上げてもいいかなとは思うわよ。」
「そこは任せるけぇ。」
うん、売るのはその道のプロに任せた方がいいよね!
あ、そうだ。グローブと一緒にドロップしたこのコンガは……
「アンタ、コンガもドロップしたの……?」
「ちなみにこれの需要は……」
「楽器好きには売れるかもね。流石にそれは置かないわよ。」
「隠れた性能とかは?」
「少なくとも検証班からそういう話は出てないわね。ただの楽器。それ以上でも以下でもないわ。」
ぐぅ残念。まぁ叩いて楽しいし一応持っておこうか。ただし、叩くときは1人で人の目につかない場所で叩こう。見つかったら恥ずかしいもんね!
コング・グローブをパックンさんに渡す。
「言い忘れてたけど、これから私、人と会うからすぐに露店を開くのは無理よ?」
「えぇよ別に。気長に待つわ。」
代わりに売ってくれるのだから文句なんて言えるわけがない。寧ろこれから人と会うのに話しちゃって大丈夫だったのかな?
なんてことを考えていると、パックンさんが不意に私の背後に目線を移し声を上げる。
「来たみたいね。」
あ、待ち人来たのね。んじゃあ私はクールに去るぜ……といったころで背後から声が聞こえた。
「おーい、パックンちゃーん!」
うん?んん?何か、どこかで聞いたことのある声が聞こえてきたよ?具体的には朝……朝聞いたよこの声!?
聞き覚えのある声に振り向くとそこにはケモ耳の生えた、所謂ビーストの女性がこちらに向かって手を振りながら走ってきている。どこか強そうな装備も目を引くが、私の目を引いたのはその見覚えのある顔だ。間違いない、あれは……!
「み、美影?」
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