第17話 ファッションヤンキー、着込む
翌日、朝食を食べ、夏休みの宿題朝の部を終えた私は何気なしにスマートフォンに目を移す。
……oh、凄まじい量のメッセージと着信履歴……犯人はやはりというか何というか美影でした。このまま放置しているのも可哀想なので電話しようか。あれ?電話切られた?あ、メッセージ届いた。
"ごめん!今タイラントワームとやり合ってるから電話ちょっと待って!"
おっと、これは悪いタイミングに電話かけちゃったな。この間に私もAFWにログインしてもいいんだけどログインした瞬間に今度は私が電話に出られない状況にでもなってしまったら申し訳ない。しょうがないから美影から電話来るまで宿題進めておこう。
ていうか美影は今、タイラントワームなるものと戦ってるって言ってたけど……美影ミミズとか苦手じゃなかった?大丈夫?
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PLLLLLLLLL
おっ、美影からだ。15分そこら掛かったな。出よ。
「はろー」
『はろー!で、ハルルンAFW手に入れたってマジ!?』
「私が美影に嘘を言ったことがあるん?」
『割とあるけどハルルンは信用できるから本当って信じてる!』
スマートフォンから聞こえる美影の声はとても明るい。電話やメッセージを朝までスルーしていたのは怒っていないようで安心した。まぁ文句言っても無駄だと思われているのかもしれないけど。
『いやぁ、ハルルンがAFWかぁー煽ったことでフラグになったのかな?ということで私に感謝するがよいぞ!』
「はいはい、感謝しとるけぇ電話切っていい?私もそろそろAFWしたいんよ」
『マ!待ち!パーティ組も!』
「……美影何レベル?」
『18!』
「今回はご縁がなかったということで……」
『面接!?しかも直ぐに合否判定するタイプ!?』
いや、レベル差あり過ぎなんだが?何だよLv18て。私昨日漸く6レベルになったとこやぞ。どんだけやり込んでいるのさ美影。
パーティに誘ってくれるのは有難いんだけど私、基本的にソロを貫きたいんだよね。誰かとパーティ組むならヤンキーらしく、緊急時に仕方なく「ちっ、しょうがねぇな!」的な感じでパーティを組むというのが私の理想なのだ。あとそんな高レベルと一緒に行動してワンズフォレストがヌルゲーもしくは美影適性の場所で足手まといになるのが嫌だからね!お断りする!
「私のペースで強くなるけぇさ、その時また……やり合おう?」
『待って!ハルルン、そこはパーティ組もう?じゃないの!?やり合うってPVPしたいの!?』
「ほら、私対戦ゲームで知り合いと容赦なく戦うの大好きだし……」
『あーはい、そういう子でしたねハルルンは。UNOでも私に容赦なくドロー4とか叩き込んで高笑いするんだもんね。』
失礼な、高笑いまではしないよ。精々めっちゃにやけるだけだよ。
そんな訳で美影とのお誘いはお断りし、もしAFWで出会ったらまた話そうと約束をし電話を切った。……あ、私がヤンキーRPしているの言うの忘れていたなぁ。ま、いいかそっちの方がサプライズ感あるよね。
ってな訳でAFWにログインしましょうね。
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よし、ログイン完了と。
お、メッセージが届いてら……竹輪天さんだ!ということは?
"送り主 竹輪天 件名 完成しました "
"おはようございます。オウカさんご依頼の装備が完成しましたので連絡させていただきました。昼から寝るため出来れば午前中までにメッセージを送っていただければ幸いです。また、このメッセージを昼に見た場合は次にログインするのは夜になりますのでよろしくお願いします。"
大体予想出来てたけど、竹輪天さん作るの早いなぁ。もしかして徹夜したのかな。いや、もしかしたら元々そういう生活リズムの人かもしれないね。
朝のうちにログインできたのは良かった。この機を逃していたら装備貰えるのが夜になるところだったよ……
忘れないうちに竹輪天さんに返信っと。お、すぐに竹輪天さんから返信来た。今から大丈夫みたいなので遠慮なく生産ギルドに突撃だー!はい、昨日ログアウトした場所が割と近場だったのですぐに着きました。失礼しまーす。
「おはよう、オウカ。早速だが着替えてみてくれるか?君の要望に合う且、似合うように作ったつもりだが、実際来てみると『何か違う……』というのはよくある事だからな。もしその様なことがあるならば寝る前に直したい。」
「おはようおはよう、分かったからそんな矢継早に話して迫ってくるな!」
生産ギルドに入った瞬間、出迎えたのは竹輪天さんだった。だが、昨日会った時より目が見開いてて少し怖い。なるほど、これが背の高い人に見下げられる圧迫感か……見習わねば!じゃなくて竹輪天さん落ち着いて!ちゃんと受け取るから!
"漢の長ラン"
"漢のボンタン"
"深紅のシャツ"
おぉ……!これ、いい!名前の時点でいい!早速着てみよう!
えっと、メニューを開いて装備欄……確か装着したい防具をアイテム欄からスライドさせればいいんだよね。よし!
瞬間、私の皮で出来た初心者用防具一式が消え去り、代わりに私の体を真っ黒な衣装が覆った。おぉ、学ランだ!凄い、何かそれっぽい!
「ふむ。良かった、思った通り……いや、それ以上のマッチングだ。我ながらいい仕事をした。」
「竹輪天さん!これ!凄い!理想通り!」
「あの、オウカ、RPはどうした。ただの女の子になってるぞ。」
ハッ!駄目だ駄目だ!思わず素が出てしまった!でも嬉しい!
「ちなみにオウカの名前に沿って、背中には金色の桜の刺繍を施している。」
「竹輪天さん最高ですか……っ!」
「だからキャラ。」
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