別訳日本神話 ~忘れられた邪神の物語~

作者 浅田 千恋

世界初! 神話系SF伊勢界ファンタジー!!

  • ★★★ Excellent!!!

伊勢界である。

主人公ヤマトは、志摩神宮(伊勢神宮がモチーフと思われる。だから異世界ではなく伊勢界だと私は思った)の林を歩いていると、異世界に迷い込んでしまい、そこから日本神話に出てくる神々の戦いに巻き込まれていく、というのがこの作品のスタート。

私が震えあがったのは、この作者の構成力。
エピタイを見て貰えば一目瞭然だが、主人公は伊勢界と現代を行ったり来たりしている。その為、時間軸がずれたり、キャラクターに変化が有ったり、伊勢界で起きた事象が現代になんらかの影響を与えたりと、とにかく物語が動く動く。

その激動の中でも一本の筋を追いやすくするため、一人称で進んでいく親切設計。これで読者がストーリーラインを追えなくなったり感情移入できなくなったりすることは無くなるが、それが続けば当然ダレる。しかし、それを意図的にずらしてくるなどして(物語中盤、ここで戦慄した)、とにかく読者を飽きさせない。というか休ませてくれない。そういう工夫がされている。
そしてその工夫がそのままミステリーの牽引要素になるだけでなく、何本もの伏線を張り巡らせることになる。

序盤、物語が進むと同時に散りばめられた伏線。それが終盤、物語の進行とともに、どんどんと回収されていく。

「これはこういうことだったのか!」
「ああ、このシーンは!」
「だからこんなふうな!」

得心、感動、戦慄が次々に胸に去来する。

圧倒的スケールを見事収束させた作者に最大の敬意を!
完璧なまでのカタルシスを全身に浴びせるこの作品に最高の感謝を!

あ、アルタさんが超絶可愛いんですけど、個人的には真琴さんが素敵だなって思います。一日中お話していたい。それに神々もカッコイイですし、主人公ヤマトさんもやっぱりカッコイイです。
という感じに、キャラクターも大変魅力的なので、そう言ったところにも注目して頂ければ嬉しいです。

あーっと、そうだそうだ! いっち番大事なことを言って無かったですね!
この小説、日本神話を全然知らない私でも、めちゃくちゃ楽しめたので、「そういうのわかんなーい」という人でも気軽に楽しんでください!

民俗信仰の門を叩く必要はない。読者はただ、楽しめば良い。

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