なぜか異世界に幼女で転生してしまった私は、優秀な親の子供だったのですが！！

第239話 赤い羽のネックレス

「あのネックレス良いわね、小さくて邪魔にならないし、防寒性能も高いのよね、ただちょっと値が張るのが欠点だけど...」

　そう言って値札を見つめる彼女でしたが...。

「う〜ん...、やっぱアクセサリーに5万ゴールドはないわ...、だったらちょっと重くても安い防寒着を...」

　彼女が言い終わる前に購入を決意する俺。

「これください」

　即決で5万を店員に渡してネックレスを買った。

　それを見ていた彼女はちょっとだけ引いている。

「あんたそれ...、5万だよ...」

「ああ...、何か問題でも？」

「いや....、まあ問題はないけど、5万を即決で出すなんてやっぱローシュは金持ちなんだね....」

　そう呟きながら俺の方を見て来る彼女にネックレスを渡す。

「はいこれっ」

「何？」

「やるよ！」

「はぁ！？」

　彼女は全力で受け取るのを断ってきた。

「いや...、あんた今購入した高額な物を即効で他人に渡すってどんな神経してんのよ！」

「いやだって、俺がエルシーに何か買ってあげたいなって思って買っただけだからいいよ」

「あんたねぇ...」

　何か面白くなさそうな表情の彼女。

「私のこと舐めてる？」

「えっ？」

「いい？、私は一端の冒険者よ、本当に欲しいものは自分で稼いでから買うから他人の施しなんて受け取るつもりは無いの、さっきの食事はカリンとの友好関係上受け取ったけど、今の私とローシュじゃ赤の他人もいい所なのに、こんな高額な商品を渡してきてなんのつもりってなるに決まってるでしょ？」

　彼女の言うことも正しい...。

　実は俺...、女性の扱い方がよく分かっていないのだ。

　俺が良く会う女の子といえば妹くらいだし、妹は大抵なにかを買ってあげれば喜ぶので今回もそうして見たのだが、どうやらエルシーの場合冒険者としてのプライドを傷つけてしまったようだ。

「ごめん...」

「謝らなくてもいいって...、まあローシュの気持ちはは嬉しいけどそれは受け取れないかな、値段が値段だしね」

　そうは言いつつも少し欲しそうに視線だけはネックレスの方を見つ目ている。

　彼女の場合、現金よりも冒険者としてのプライドを取る人物なのだろう。

　そう思うと余計にエルシーという存在に惹かれる俺。

「だったらさ...、コレを1万でエルシーに売るよ！」

「5万で買った物を1万で？」

「ああ、俺には不要な物だし、エルシーが気持ちよく受けとってくれるならその方がいい」

　我ながらよく名案を浮かべたものだ。

　彼女にある程度の資金を支払わせることによって、タダで物を貰うという後ろメタさをなくさせたのである。

　コレならばきっと彼女も受け取ってくれるだろう。

　少しばかり考えた後、財布から一万ゴールド札を取り出して渡してくる彼女。

　渡してくる際に一言こう囁いてきた。

「貸しにしとく...」

　それを聞いた時、彼女に貸しを作らせたことよりも、彼女が俺からの贈り物を受け取ってくれたという事実が嬉しく思うのでした。