第216話 封印式

「皆さん、今日は魔女の封印式にお集まりいただきありがとうございます、今日この日を何事もなく終えれることを祈りましょう」


 私は静かに両手を合わせ女神クティルにお祈りを捧げます。

 しばらく目を閉じた後にまぶたを開くと大勢の人が瞳に移りました。


(凄い大勢の人...)


 少し緊張しています。

 純血の選択者として私はこの王国に住む全国民の代表なのですから封印を失敗する訳にはいきません。


「あれをこちらに...」


 私が支持をすると厳重に保管された黒い箱を姉さんが持ってきました。


「はいっ、頑張りなさいよ」


 姉さんの何気ない一言。

 言葉にすればこんなにも短いのになぜこんなにも勇気が溢れてくるのでしょうか?。


「ありがとう...姉さん」


「ふんっ!礼をいう暇があるなら早く終わらせなさい」


 彼女はそう捨て台詞を吐いた後に私の後ろに回りました。

 黒い箱を受け取った私は式典場の中心へと足を進めます。

 中心に立った私にここある全ての視線が降り注ぎましたが、先ほどの姉さんの一言が効いたのか動じずにいられました。

 深く深呼吸をした後に国民に向けて言葉を発します。


「初めましての方は初めまして、私は賢聖エルカと申します」


 ここまでは噛まずに言えた...、でも本番はここから!。


「悠久の魔女がこの箱の中に封印され8年の時が流れようとしています、あの時の勝利は私1人では絶対に掴めなかったものであり奇跡です」


 私は黒い箱を天に掲げてこう国民に宣言しました。


「私は女神クティルに選ばれた選択者として、悠久の魔女をこの中に閉じ込めています、そしてこれからも私がいる限りこの地に魔女が再誕しない事を約束いたします」


 私がそう宣言した瞬間に式典場上空で花火が上がりました。


「今年で魔女が封印され8年目、これからも私が皆様の為この地に留まる事を約束いたしましょう!」


 私は黒い箱に術式を掛け直します。

 凄まじい魔力の渦が私を包み込み、黒い箱の中身を押さえつけます。

 以前よりも複雑な魔力回廊を構築し、より完璧で安全な封印を施しました。

「ふぅ...」と私が息を吐くと式典場から拍手と喝采が湧き起こり、途轍もない盛り上がりを見せています。


「今日はクティル王国祭最終日、皆様今日は最後まで祭をお楽しみ下さい!」


(なんとかやりきったわ...)


 とりあえず今は封印が成功した事を祝いたいですね。



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