第43話 七夕祭りの予定

 その後も四人で談笑していると話は来週土曜日の七夕祭りの話になった。


「ところで来週の七夕祭りって、みんな予定とかある?」


 七夕祭りというの来週の土曜日、つまり七月七日に町で行われる祭りのことだ。

 毎年、かなり規模になり学生はもちろん大人も張り切って参加するぐらい熱が入った祭りだ。


 去年は伊織と怜奈と一緒に行ったが、今年は伊織は彼氏と行き、怜奈は高校の友達と行く予定なため翼は一人でお留守番の予定だった。


「もしかしたら、友達と一緒に行くかもしれませんが皆さんが行くなら私は行きます」

「私は友達がいないので、皆さんがよろしければ一緒に行きたいな」

「俺はなんの予定もないぜ」


 清子が少し困った顔をしていたが、翼が行くと表明した時急に顔が明るくなった。

 菫も翼と同様、友達が少ないのでこういう祭りを一緒に行く友達がいないのだろう。

 翼も伊織と怜奈を除くと友達が極端に少なくなるので、言っていて悲しくなってきた。


「それじゃー四人で七夕祭りに行かない。せっかく仲良しになれたんだし」


 寧々は安堵の表情を浮かべるとみんなに提案する。


「私は賛成です」

「私も」

「俺もだ」


 寧々が仕切り、それに三人が従う。


 さすが、クラス最上位のリア充。


 みんなをまとめるのが上手い。


「でも、寧々や清子は大丈夫なのか。俺と佐藤は友達が少ないから大丈夫だけど寧々と清子にはそれぞれコミュニティがあるだろ。そっちに行かなくて良いのか」


 二人からすれば、翼の親切は大きなお世話かもしれない。


 でもそのせいで二人のコミュニティの立場が危うくなるのは翼としても望んでいない。

 そして何気に菫にひどいことを言っている翼だが本人は気づいていない。


「あたしは大丈夫よ。そんなことであたしの信頼は崩れないから。それに夏休みに入れば夏祭りなんて結構やってるからそこで埋め合わせをすれば問題ないわ」

「私もです。そんなことで私たちの信頼は崩れません。でも翼さんが私たちのことも気にかけてくれてとても嬉しかったです」


 どうやら、本当に大きなお世話だったようだ。


「なら決まりね。来週は四人で七夕祭りに行きましょ」


 寧々が最後に綺麗にまとめる。


 もちろん、誰からも異論は出なかった。


 それにしてもこの三人と七夕祭りか。


 今まで伊織や怜奈以外にプライベートで遊ぶ人がいなかった翼にとっては初めての友達と行く夏祭りだ。


 まだ一週間以上もあるのに今から緊張してきた。


 そしてこの三人で行く七夕祭りを想像すると嬉しすぎて思わず顔がにやけそうになる翼だった。




 そろそろ語りつくして帰ろうとした時、菫が勇気を振り絞って声を上げる。


「あのみなさん。……私みなさんを見て少し羨ましく思いました。その……私もみんなと親しくなりたいので下の名前で呼んで良いですか」


 急にかしこまった声を出したと思えば、そんなことか。

 きっと友達の少ない菫は今まで下の名前で呼び合うほど親しい人はいなかったのだろう。


 だから翼たちの関係を見て羨ましく思ったのだろう。


「あたしは別に良いわ。ならあたしも寧々と呼んでね」

「私もかまいませんわ。私も清子とお呼びください、菫さん」

「俺も別に良いけど。俺も翼で良いぜ、菫」

「あ、ありがとうございます、みなさん」


 もちろん、この中にそんなことが嫌だという人はいない。


 翼も含め、みんな快諾する。


 みんなから快諾された菫は嬉しすぎたのか目元に涙を浮かべ、声が震えている。


 菫はなんとか涙をこらえると、笑顔を浮かべた。


 それは真夏に咲くヒマワリも驚くぐらい、綺麗だった。

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