第33話 とりあえず家に

 家に帰り玄関を開けようとしたら鍵が閉まっていたので、まだ妹の怜奈は帰ってきていないようだった。


 しょうがないので、鞄から鍵を取り出し開けて入る。


 一旦、菫に玄関の中で待たせた後翼だけ家の中に入り、バスタオルを持ってきて菫に渡す。


「ありがとう」

「どういたしまして」


 タオルである程度拭くと、翼は菫にお風呂を勧める。


「廊下を歩いて最初の角を右に良くとお風呂場だから。着替えは適当に用意するよ」

「でも、桐谷君もびしょ濡れだよね」

「俺は大丈夫だから最初に入ってきな。それに着替えの用意は俺しかできないから」


 この家は翼の家なので、どこにバスタオルや着替えがあるかなど、菫には分からない。


 翼に正論を言われた菫は申し訳なさそうにお礼を言いながらお風呂場に向かう。

 翼もある程度拭くと、菫と自分の着替えを用意するために準備をする。

 自分のは適当で良いがさすがに、菫のは適当にはできない。


 新品の下着(翼のものなのでもちろん男性用)を用意し服はしょうがないので洗ってある黒のスウェットを用意する。


 翼は脱衣所に入り、菫に声をかける。


「佐藤、着替え籠の中に入れておくぞ」

「うん、ありがとうございます」


 浴室の中からは、妙に響く菫の声が聞える。

 ドアはすりガラスになっているので菫の裸体は見えない。

 翼は菫の着替えを置くとすぐに脱衣所から出る。


 ここにいても菫の邪魔になるだろう。


 もっと広かったら二人で入れるのだが、アパートの浴室にそこまでは求められない。


 その時一瞬、白のショーツとブラが見えた。


 ちなみに、ブラもショーツも女性用みたいな男の娘用だった。


 結構可愛らしいと思ったのは翼だけの秘密だ。


 女性用と男の娘の下着の違いは、ブラは同じだがショーツは男の娘用は前が少し広い。


 閑話休題。


 その後、菫と入れ違いにお風呂に入り翼も暖を取る。


 濡れて冷えた体に、シャワーの温水はなんとも言えないぐらい気持ちの良いものだった。

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