第17話 やっちゃった

 家に帰った後は怜奈と一緒にご飯を食べ、一緒にお風呂に入り、今ベッドに転がりながらマンガを読んでいる。


 ちなみに今日は伊織は来ていない。

 なので、今日はとても静かである。


 ベッドに転がりながらマンガを読んでいると、いつも閑古鳥の翼のスマホにラインの通知音が鳴る。


「珍しいな」


 翼は一旦、マンガをベッドに置きスマホを手に取る。


 ラインが来るだけで珍しいと思ってしまったのは、友達の少なさゆえの性だ。

 両親は基本、未だにメールだし妹の怜奈も家にいるからわざわざラインを送る必要はない。


 ということは伊織だろう。


 スマホの電源をつけて、ラインを見てみるとそこには意外な人物の名前があった。



 斉藤寧々。



 その名前を見た瞬間、翼の脳はショートした。


 まさかあのリア充の寧々からラインが来るなんて。


 翼は思わずにやけてしまった。


 でもその表情もラインを見た瞬間、凍りつく。


『やっほー翼。ラインでは初めてだね。これからラインでもよろしくね。

 明日なんだけど、とりあえずゲームセンターにでも行かない?

 プリクラとか撮りたいし』


 別に内容自体はいたって普通だ。


 でも曜日が問題だった。


 確か今日、九条院と明日お金の使い方を教えるって約束しちゃったな~。


 翼はスマホを握り締めながら冷や汗を流す。


 もちろん、約束は寧々の方が早い。


 ただ、友達とどこかに出かけて遊ぶという発想がなかった翼は、明日もフリーだと思い清子と約束をしてしまった。


 まさかのダブルブッキングである。


「やべー……どうしよう」


 翼の口から乾いた声が漏れる。

 普通なら清子の約束を今断れば良いのだがあいにく、清子の連絡先を翼は知らない。


 だからといって寧々の約束を反故するのなんてもってのほかだ。


『分かった。俺は大丈夫だ』


 今の翼には肯定のラインしか送ることができなかった。


 このことは明日清子と寧々に説明すれば良い。


 翼は現実逃避をしながら、ベッドの中に入る。


 こんな状態ではマンガなんて読んでいられない。


『ありがとう翼。

 じゃー放課後よろしくね。

 また明日。おやすみ~』


 またラインが送られてきたが、翼は罪悪感でラインを見ることもできなかった。


 こうして運命の水曜日が幕を開ける

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