第183話 ホスト復帰?②

「実は、あれから遼さんの客が何人も相原さん指名で来てますよ」


「マジで?」


「自分の女と言うか、やっちゃった女もいるかも・・・あ、でも確かじゃないですけど」


隼人は、慌ててごまかす。


「いいや、あの人ならあり得る」


(きっと事実だろうな)


「そんな事、ないと思いますよ」


「あの人は自分の客は必ずやるから」


「まぁ、その傾向は、ありますけど・・・」


「俺もお前も側にいればわかる事だもんな」


「俺から聞いたって言わないでくださいよ」


「わかっているよ。お前がしゃべったってバレたら、居場所なくなるもんな」


(しかし、あの人はヘルプの客も寝取るのか・・・)


「すみません」


「じゃあ、しばらく戻るのは、やめておくよ」


「残念です」


「じゃ、お前は俺が復帰するまで辞めないで頑張れよ」


「はい、待っていますから」


「オッケー、じゃあな」


俺は、そういって電話を切る。


(結局、相原さんは俺が復帰すると都合が悪いって事か・・・)


突然やめた俺が悪いと思うしかない。


「他のグループに盗られるより、身内に盗られたほうがまだまし・・・か」


(相変わらず嫌な世界だな)


「しばらくホスト復帰は、諦めるか・・・」


俺は、少し人間不信になっていく。

約束を破られ・・・。

相手が悪かったというのもある。

そして、俺のいない間に身内同然の男に客を横取りされ・・・。


そして、本当に誰を愛しているのかもわからなくなっていく。


俺は、ホスト復帰するまで他の仕事を探す事にする。

あゆみが仕事を持ってくる。


「出張のホテトルの店で募集しているから、やらない?」


「おう、やる」


「あはは、面白い。即答じゃん」


今は、仕事を選んでいる場合ではない。


「捕まる仕事じゃないよな?」


「うん、車での送迎の仕事だから。いわゆる運転手だね」


「そっか、それなら平気かな?」


「何か、遼、ビビってるね・・・あははは」


「そんなに笑うなよ」


「男が守りに入ったらつまんないよ〜」


「何だそれ?だけど、あのまま中に入りっぱなしなんて想像もしたくない」


「相当、懲りたんだね」


「お前も一回、中に入ってみればわかるさ」


「わたしはそんなドジ踏みませ~ん」


「はい、はい。俺はどうせ騙されやすい男だから」


(ホストが騙されやすいって変か?)


「騙されやすいなんて・・・元ホストが何言っているんだか」


「あはは、だよな」


(しかし、今の俺って元ホストになるのだろうか?)




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