第182話 ホスト復帰?①
釈放され、仕事のあてもなくホストに戻るかどうか迷っている毎日。
色々考え悩んだ結果、先輩に連絡する事にする事になる。
のんびりとしたこの生活も捨てたもんではないが働いてないと二度と社会に戻れない人間になってしまう気がしてくる。
俺は、捕まってから檻の中にいる間に人間が丸くなったというか弱くなったような気がする。
(なんでだ?・・・恐さを知ったというのか?)
二度とあそこには戻りたくないという意識が強い。
そして、ある日。
「なんか遼、少し変わったね」
「そうか?」
(やっぱりあゆみも感じている?)
「何か危険な香りがなくなったみたい」
「なんだそれ?」
(俺って危険だったのか?)
自覚はない。
「前よりやさしくなった感じね」
「ふ~ん、そう思うんだ・・・」
あゆみの世話になって毎日、ブラブラ遊んでいる。
遊んでいるっていうのも何日も続くと飽きてくる。
何でもいいから働きたくなってくる。
ようやく口に出してあゆみに思いを伝える。
「ホストに復帰しようかな?」
「また、女相手にやるの?」
「仕事って、今それしか浮かばないからさ」
「やりたい事をやればいいよ」
「サンキュ」
(つくづく寛大な女だ)
俺は、相原に連絡を入れる。
辞めた時にも迷惑をかけたし、少し気が重い。
(これで二度目・・・復帰しようとするたびに相原さんを頼っているよなあ)
店の営業時間を待って連絡を入れる。
「もしもし、遼です。お久しぶりです」
「よお、元気だったか?」
「色々ありましたが、元気にやってます」
「そっか、で?どうした?」
「実は、もうそろそろ復帰しようかと思って・・・」
「う~ん、そっか・・・そうだなぁ、まだ少し様子を見たほうがいいんじゃないか?」
「まだ、だめっすか?」
「もうすこし待てよ」
「はい、わかりました」
「また時期が来たら俺から言うよ」
「はい、よろしくお願いします」
相原の言葉に少し違和感を感じたが、相原にそう言われたら従うしかない。
「店の状況を聞きたかったのになあ」
ヘルプだった隼人に連絡を入れてみる。
「もしもし、隼人か?俺、わかる?遼」
「あ~遼さん、お久しぶりでーす」
「ほんと、久しぶり。元気にやってる?」
「はい、もうバリバリっす」
明るく元気な声。
「相変わらずだな」
「こんな時間にどうしたんですか?」
「うん、そろそろ店に戻ろうかと思ってね」
「おー!いいじゃないっすか〜」
「だけど、相原さんにまだ無理だって言われてね」
「あ~なるほど、そっか、そうでしょうね」
声のトーンが下がっていく。
「ん?そうでしょうって・・・何かあるの?」
少し沈黙。
「そおっすねえ・・・言っていいのかなあ」
「いいから言えよ」
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