第98話 風俗のバイトの頃の女友達①

「誰?」


「翔子」


「翔子?・・・もしかしてあの翔子?」


(誰だっけ・・・)


「あの翔子って、わかっているの?」


「う、うん」


「また適当な事を言ってるんでしょ?」


「・・・・・」


(あっ・・・もしかしてこの声はあいつか?)


「俺がヘルス時代の・・・」


恐る恐る言ってみる。


「そうよ、当たり。久しぶり」


「おう~どうした?」


(はあ~よかった)


「ちょっとね」


「って言うか、よくこの店に俺がいるのがわかったな」


「友達に聞いてね」


「そっか・・・で?何?」


(友達って誰だよ)


「私、ホストは大嫌いだけど、友達がホストクラブに行きたいと言っててね」


「おいおい、いきなりキツイ事をはっきり言うね」


「だって前から言っていたでしょ?」


「そうだったっけ?」


俺は、会話しながら、あの頃のことを思い出している。


(翔子ってどんな顔していたかな・・・思い出せない)


「ねえ、聞いているの?」


「ん?ああ・・・うん」


(やば・・・聞いてなかった)


「もう一回言って」


「大丈夫?今、話出来ないの?」


「うん、今こっちで話しかけられてね。もう大丈夫」


「ホストクラブに行こうって話になって、あなたの顔が浮かんだのよ」


「翔子は今何やってるの?」


「ソープ」


「へえ~~意外」


(あの翔子がね~)


「何でよ」


「う~~ん・・・」


「変なの」


「いろいろとみんな、大変だなと思ってさ」


(まさかソープに転職していたとは)


「ヘルスより稼げるから転職したのよ」


「そうか」


「変な駆け引きいらないしね」


「確かにそうだよな。ヘルスで男は、本番やろうと必死だもんなぁ」


(なんか、みんなソープに転職していくんだなあ)


「そうそう、よく店の中でもめていたよね」


「そうだよ。大変だったよ」


俺は、やっと思い出す。


翔子は、よく客とトラブルを起こす女だった。

横柄で口も悪く、人使いも荒く、だらしがない女。

いつも眉間にしわを寄せていて、嫌味ばかり言ってた。


「今はやること決まっているから楽よ」


「ふ~ん、そんなもんか」


(ソープって最終職業かもな)


「もう流れ作業のようにやってればいいんだもん」


「流れ作業って男は、品物か?」


「そうだよ、男はみんな同じよ。スケベおやじばっかり」


「そんな事、言っていると指名とれないぞ」


「そんなのいらない」


「それじゃあ稼げないじゃん」


「一回したら、もう顔も見たくない」


「相変わらず口が悪いな~」


「大きなお世話よ」


「ところで、どこで働いているの?」


「川崎」


「遠くない?川崎にもホストクラブなかったっけ?」


「こっちのホストは、小さくてホストパブみたいな感じなの」


「そっか」


「だから、大きな店なら男も多いだろうと思ってね」


「わかったよ」


「わざわざ新宿まで行くんだから、サービスしなさいよ」


「オッケー」


(上からだなあ・・・やっぱり好きになれない女だ)


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