第58話 グループ復活

前の店の同じグループのメンバーがこの店に来る事になる。


「すぐこっちに来るってよ」


「えー!まじですか?」


「社長が癌で余命宣告されて続けられないからって店を閉める事になったとさ」


「そうなんですね。何かあの店は呪われているみたいですね」


「確かに色々あり過ぎて、そうかもな」


「閉店か〜移って正解でしたね」


「ナイス判断だったよな」


「でも赤坂さん達、来るのか~」


「俺達がいるから、来やすいんじゃないかな」


「だからこの店に決めたんだろうけど・・・気まずいなあ」


「お前は、そうだろうな」


「やだな」


「三条は、家業を継ぐ事になってホストをやめるらしい」


「俺がここにいる事、赤坂さん知ってるんでしょうか?」


「ああ、連絡来た時に話をしたら知ってたよ」


「そっかぁ〜ホストに復帰して挨拶に行かなきゃって気になっていたんだけど、わざわざ行くのもおっくうだから、行ってないんですよね〜」


「そうだな。とりあえず店に入る前に挨拶はしといたほうがいいかもな」


俺は、この店にくると聞いてからどんどん気が重くなる。

赤坂が入店する前に連絡を入れて、挨拶をする事にする。


「赤坂さん、ちょっとお話があるのでよろしいでしょうか?」


「あぁ、いいよ」


喫茶店で待ち合わせして向かうと約束の時間より早いのに、既に赤坂が席でアイスコーヒーを飲んでいる。


「赤坂さんお待たせしてすみません。あと連絡しなくてすみませんでした」


「お前も立ち直ったみたいだな。よかったと思ってるよ」


「はい。ありがとうございます」


(怒ってないみたいだ)


「お前達の店に行く事になったから、また一緒にやろう」


「はい。よろしくお願いします」


(はあ~とりあえずよかった)


赤坂は、辞めてからの事や経緯などアレコレ何も聞かれずに話が終わる。

相変わらず厳しいが、けじめさえしっかりしていれば長々と言わないタイプだった。


これで店で新参者でもノビノビと仕事ができそうだ。

赤坂は、歌舞伎町界隈でも長い年月やっていたせいか有名なホスト。

この店でも一目置かれるくらい顔が知られている。

赤坂のグループのホストだとわかると商売を邪魔される心配もなくなりそうだ。







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