第6-2話
それぞれの発言の前には名前が書かれているが、ペンネームなのか、どれが水智の発言かは分からない。
もしかしたら見ているだけで、この中にいないのかもしれないけれど、行き過ぎた発言や間違いをやんわりと指摘して、場をコントロールしているルリスズメという人が水智なのかも。
しばらくぼんやりと思考を巡らせて、一周して元の位置に戻ったとき、なにをしにここに来たのか危うく忘れそうになっている自分に気が付いた。
しかしなかなか切り出すタイミングが難しい。
怒ってすぐに頼みごとをするのも気が引ける。
話題を探して西側の壁際に置かれた机に目を向けた。
古めかしい時計が一つ置かれている。ゼンマイ式だろうか。そう思っただけで眉間に
その横には文庫本位の大きさの黒くて小さな箱が、たくさん並んでいる。百個くらいあるだろうか。
それらは大きく二つのグループに別けられ、それぞれがケーブルでリング状に接続されている。
真上から見ると8の字のような感じだろうか。
円同士を結ぶ中心部には、
ディスプレイも昔のテレビのように厚みがあって、ずんぐりとした形をしている。
「あれはなに?」
「え?」
突然聞かれたのでびっくりしたのか、水智が両腕を胸の前に上げて小さくなっている。
腰を引き気味にして、香那が指差している方に顔を向けた。
「えへへ、トラップだよ。でもまだ完成してないんだ」
そう言って水智は嬉しそうに
「……調べて欲しいことがあるの」
少し
「わーい。やっと本題なんだね」
水智は勢い良く受け取ると、もどかしそうに紙を広げた。
「なにこれお墓?」
急に元気がなくなり、声のトーンが落ちる。
紙の
「本町公園の事件は知ってる?」
「えーと、ちょっと待ってね」
水智はそう言ってすぐにキーボードを操作する。
オシロスコープのような波形を表示していた右上のディスプレイが、事件関連のデータ表示に変わる。
「うん」
画面を
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます