第8-3話
眠りを
精神に含まれている痛みを
今度は手ではなく
蹴られた箇所を抱えるようにくの字に身体を折り曲げ、激痛に耐えた。
集中が途切れ少女の声が遠くなる。
ただ逆に二度蹴られたことで
後少しで動けるようになるかもしれない。
少女も異変に気付いたようだ。
気持ちが悪いとしきりに訴えてくる。
ガラスが割れたような
異常を知らせる赤いランプが、不気味に部屋を照らし出す。
溶液の濃度を表示していたディスプレイに、エラーを示す文字が点滅し、操作パネルから激しく火花が散った。
白衣の男が初めて動揺の色をみせた。
飛び散る火花を避けながら、懸命に操作を続けている。
けたたましい警告音の響く中でも、それと認識できるような異質な音が響いた。
男は引き
円筒形の装置の
少女の意志が室内に
装置の内側から男へと向けられた、怒りに満ちた強烈な視線を感じる。
男が
自分の身になにが起こったのか認識する間もなかったのではないだろうか。
部屋の天井をあっという間に満たした蒸気が重く
視界と共に急速に閉じていく世界から離れ、現実へと
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