第2章 エルゴの領域に創り出された偽りの神様
第1-1話
「空気が美味しいですね」
みつるがあきらに話しかけながらバスを降りた。
「まぁ、確かに空気は
早朝東京を出発した二人は、途中茨城県の石岡駅で下車した後、
「しかし廃線になっているとは思わなかったな」
「残念ながら数年前に廃止されてしまったようです」
みつるはホームを去って行くバスを見送っている。
クリーム色の塗装に水色の帯が
「廃車になった車両を
みつるは駅のベンチに腰掛けた。
「そのベンチも年代物みたいだな」
あきらはホームを歩きながら辺りを見渡した。
「ここから少し歩きます。一時間に一本位しかバスがありませんから、帰りの時間も調べておいた方が良さそうですね」
振り返ると、丁度みつるがウェアラブルパソコンを起動しているところだった。
あきらは駅に設置されている時刻表を見つけると歩み寄り、上りの時刻を確認した。
ほんとに少ないな……。
暖かな
一度頭を振ってみたが、効果がないので素直に
静に目を
小鳥の
「お待たせしました」
どれくらい時間が
「すまん。みつる」
ぼそりと
「じゃあ、行きましょうか」
みつるはあきらにそう言うと、サングラス型のヘッドマウントディスプレイを装着したまま、出入口へと向かった。ディスプレイには、玉里の地図が表示されている。
「今、笑わなかったか?」
「気のせいですよ」
あきらの問いにみつるは微笑みを返した。
「ほ、ほんとにここが元は駅だったのか?」
あきらは後ろを振り返った。構内と外とは低い
「
みつるは笑いながら答えると、村の北へ向かって歩き始めた。
朝早いこともあり、通勤や通学途中の人々とすれ違う。
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