第7-4話

「そんな……」


 かすれた声が聞こえ、少年は振り返った。


 彼女には言葉の意味が理解できたのかもしれない。


 少女の視線を追うと、男を見てはいなかった。


 赤い光と思われたものは、激しく燃えている三つの炎の柱であることが分かった。


 手前にある焚き火の光とは比べ物にならないくらい明るい。


 少女は揺らいでいる炎の下を見つめながら震えている。


 三つ。


 この数字が意味すること。


 燃えている場所。


 しびれたような震えが全身に走るのを感じながら、少年は理解した。


 男が叫んだような気がして、少年はもう一度男のいる方へと顔を向けた。


 錯覚さっかくだったかもしれない。一瞬視線が合ったような気がした。


 その表情はあわれんでいるのか、あるいは笑っているのか。


 揺れる朱色しゅいろの視界にはばまれて、もう確かめることはできそうもなかった。



 彼女だけでも、無事に逃げることができたら良いのだけれど……。

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