第5-8話

「なるほど……。思い出しました。玉里村出身で旧姓が小掾しょうじょうでしたね」


 みつるが、あきらの耳元でささやいた。


「ありがとうございました。それでは現場を見せて頂けますか?」


 みつるは礼を述べると、手早くヘッドマウントディスプレイを外し、パソコンの電源を落とした。


「では私について来て下さい」


 吉川はみつる達にそう言うと、技師と運転士達には持ち場に戻るように伝え、ぞろぞろと部屋を出て行った。


 あきらとみつるの二人も吉川達の後に続き部屋を出る。


「明日は、茨城に行きませんか?」


 あきらの横に並ぶと、みつるがそう提案した。


「ああ、朝早めに出た方がいいな」


 駅関係者達との会話の中に、特に気になることはなかった。


 みつるはなにか気が付いたのだろう。


 茨城行きについて、あきらには特に反対する理由はなかった。

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