第3-3話

 大手町の地下には莫耶の施設があったことを思い出した。普段よりも幾分いくぶんか早いその対応にも納得したみつるは、もう一つ気になっていることを訊くことにした。


「東京駅に派遣される調査員はどなたですか?」


「調査室長が決めることだ。いくら所長代理でも、そこまでは判らんよ」


 語気をわずかに強めて答えると、黒川は腕を組み黙り込んだ。


 黒川にはみつるがなにを言いたいのか解っているようだった。


 新宿の災害が事件であるかどうかは判らない。


 しかし仮に、意図的に災害が起こされたと考えると、あれだけの規模だ。対象が強大なものである、ということは明らかだろう。


 東京駅でもしそのような不測の事態におちいった場合、調査室の人員では対処できないだろうことも予想できた。


 対策室でも対応できるのは、あきらしかいないかもしれない。


 いやもしかしたら黒川は、あきらとみつるの二人がかりでもかなわない、と判断したのか。


 沈黙がしばらく続いた。


「そうですか。では渋谷駅の調査ですね」


 みつるは微笑して仕事を引き受けた。頭を下げ、コートを取りに自分の席へと戻る。


「あっ、じゃあ、俺も」


 みつるの後を追うようにあきらも続く。


「天の川に協力をあおぐか……」


 あきらと共に対策室を出たみつるが扉を閉める間際まぎわ、そうつぶやく黒川の声が聞こえた。

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