グリグリ眼鏡のめぐみん

北関東7ー3東京


ビクトリーズが首位スカイスターズ相手に連勝。連城の熱投に打線が応えた! 4割打者を中心に繋ぐ、とちのき打線が本領発揮で首位叩き成功だ!


この日マウンドに上がった背番号18は、まさに背水の陣だった。後半戦、好調を維持するチームの中で自身が登板したゲームは3連敗。責任を感じなかったといえば嘘になるだろう。


この日負ければフライヤーズに並ばれる可能性のあったスカイスターズ相手にエースナンバーを託されたドラフト1位男は躍動した。


まずは自身のバット。3回ウラ、追い込まれながら必死にボールに食らいつき粘りを見せると、最後は低めの変化球をライト前へ。貴重なノーアウトのランナーに、同じルーキー達が後に続く。


柴崎が1、2塁間を痛烈に破ると、新井が3塁線にバントヒット。ルーキー3人が作ったチャンスに、「若い選手に負けるわけにはいかない」と、キャプテン阿久津が先制タイムリー。


この回、4点を先制したビクトリーズだが、譲れない首位チームの反撃に合う。1点を返され、さらにピンチを背負った連城。


日光山からの風があるとはいえ、8月半ばの灼熱のマウンド。100球を越えた連城の帽子はびっしょりと濡れていた。



「男を見せろ。また負けるつもりか」


セカンドの守谷がマウンドにいき、声を掛ける。


連城はそれでふと我に返ることが出来たという。


後続の打者を味方の好プレーに支えられながら打ち取り、なんとかリードを保ったまま中継ぎ陣にマウンドを譲った。


今シーズンはここまで、12球団最多となる21度の逆転負けを許していたビクトリーズだったが、今日は違った。


8番守谷、1番柴崎で2、3塁のチャンスを作ると、2番新井がセンター前へ彼らしいしぶといタイムリー。


2者が生還し、再びリードを広げる貴重なタイムリーで試合の流れを引き戻した。




「今日は日曜日。ブルペン陣は全員を登板させるつもりだった」と、吉野ピッチングコーチ。最後の9個のアウトを6投手で奪う、なりふり構わない必勝継投で試合を締めくくり、今シーズン2度目の満員となり、スタンドをピンク色に染めたビクトリーズファンと勝利を分かち合った。


試合後には、球団イベントにより、招待した県大会優勝の少年野球チームとの交流会。熱気冷めやらぬグラウンドを、元気な少年達が走り回っていた。


その後のサイン会では、今日4安打。規定未到達も再び打率を4割に乗せた新井の元に、サインをねだるファンが押し寄せる。


「今日はチーム全員の勝利。こういう試合が自分達を強くする。ファンも喜んでくれたし最高の気分だね」と、20日に28歳になる苦労人ルーキーが子供達に囲まれながら汗だくで笑った。


依然5位横浜と11ゲーム離された単独の最下位。しかし、今日のビクトリーズを見ればまだまだシーズンが終わっていないことを証明した。


創設1年目チームの厳しい戦い。残り46試合。あと2ヶ月となったペナントレース。


ピンク色のストライプユニフォームに魂を宿す、最下位チームの逆襲が、東日本リーグをさらに面白くさせることを私は期待したい。



週間プロ野球東日本リーグ関東担当記者、大本めぐみ。











8月18日。


今日からの金曜日は5位横浜ベイエトワールズとの3連戦。


最下位攻防戦とは言い難い差が開いてしまっているが、なんとかプロとしての意地を見せようと、俺は悲願の横浜観光を目指して試合に臨んだのだが。


初戦、ナイター開催の綺麗な夜空広がる横浜スタジアムで両チーム共演の花火大会が開催された。


初回、阿久津さんと赤ちゃんの連続ホームランも、ウラの攻撃で、横浜の4番筒薫の2ランホームランですぐに同点に追い付かれる。


さらに横浜は5番グッドールがリーグトップに並ぶ32号ソロで勝ち越し。さらに下位打線にも1発が飛び出し、4ー2。


しかし、うちもヒットで出塁した俺を2塁に置いて桃ちゃんの5号2ランが飛び出し同点。さらに7番鶴石にも2者連続の6号ソロが出て勝ち越し。


しかし、気が付いたらノーアウト満塁のピンチになっており、俺の頭上にふんわり犠牲フライが飛んできて同点に追い付かれる。


その後ゲッツー崩れの間に勝ち越しの1点が入り、ランナーを2人置いてグッドールの今日2本目のスリーランで一気に決定的な4点差。


最終回に柴ちゃんの焼け石に水ソロホームランで1点を返したところで、俺が最後はピーゴロで試合終了。



両チーム合わせて9本のホームランが飛び出すも、ビクトリーズは相手の助っ人マンのホームランによる失点が重くのし掛かり敗北し、3連戦の初戦を落とした。







それに対して2戦目は、小雨が降り続けるあいにくのコンディション。しかし、試合を中止するほどではない雨という野球選手泣かせ。


昨日みたいな、まさに野球の醍醐味であるホームランが飛び交う打撃戦は営業終了の様子。


文字通り天気通り、湿った両チームのバットからなかなか得点が生まれない。


イニングが進む毎に、両チームのファンのため息ばかりが重たく積み重なっていく。


しかしそんな中、俄然元気になってしまうのは何を隠そう、あまのじゃくの塊みたいな存在の俺自身である。


1打席目はスリッピーな人工芝を生かして1、2塁間をゴロで破るヒット。


2打席目は叩き付けた高いバウンドでピッチャーの頭の上を越えた打球を処理したショートが足を滑らせてずっこけるラッキーな内野安打。


3打席目は、アウトコースのボールをライト線にツーベースを放って猛打賞達成。


続く阿久津さんの左中間への打球で楽々先制のホームイン。さらに、1アウト3塁で桃ちゃんがスクイズ成功で2ー0。


しかしそのウラ。ここまでドラ2ルーキー碧山君の前にわずか2安打だった横浜打線がお目覚め。



下位打線の連打で1点を返し、さらに2、3塁。トップに返って1番桑ノ原の打球が、飛び付く俺のグラブの先を抜けてレフト線フェア。その1打で逆転され、それが決勝打。2連敗となった。

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