ドラゴンさんの子育て日記60

新聖暦895年 氷月の一日


 今年も最後の月がやってきた。

 ルグネとルアノが寒そうにしていた。魔法を使って温かくしているとはいえ、やはり寒いのだろう。こうして寒そうにしていると、何だか心配になる。


 新聖暦895年 氷月の三日


 ミカガネが自分の子供達の所へしばらく行くと出かけていった。我、ミカガネが出かけるとすごく寂しい。


 新聖暦895年 氷月の五日


 ラビノアとシノウールは相変わらず、我に対して少し冷たい……。我の事を嫌っているわけではないのは分かっているが、抱きしめようとして避けられたりすると我はちょっと悲しいのである。悲しんだら寄ってきてくれて、その辺は愛いが。


 新聖暦895年 氷月の八日


 村に下りたら川の氾濫を無くすために頑張ったと村長が意気揚々と報告してきた。褒めてほしそうだったので、「よくやった」と口にしたら喜んでいた。あと竜の道場の連中が我と戦いたいと来たが拒否した。我は面倒である。そもそも、我は剣の扱いはうまく出来ないし。


 新聖暦895年 氷月の十一日


 寝言でルグネが「母さん」と口にしていた。我の夢を見てくれているらしい。我はとてもニマニマした。我のルグネ、愛い。


 新聖暦895年 氷月の十三日


 今日は母君と父君が来ていた。ミカガネはまだ帰ってきていない。

 外に出ていたラオを呼びに行ったら、雌竜と一緒にいた。誰だ、その竜はと思って近づいた。我は名を覚えていなかったが、我と昔会った事がある竜らしい。

 なんでも我が子をこさえているのを聞いて見に来たんだとか。我がラオが大好きで、子も大好きになっているのを見て爆笑していたので、思わずぶちのめした。殺してはない。


 新聖暦895年 氷月の十五日


 ミカガネが帰ってきた。人型になったミカガネに「おかえり!」と抱き着いたら呆れられた。ミカガネの子供たちは元気そうだったらしい。ミカガネがいると我、やはりうれしい。


 新聖暦895年 氷月の十八日


 ルグネとラビノアとシノウールが魔法の練習をしているのを見る。一生懸命練習をしている我が子達はなんて愛いのか。


 新聖暦895年 氷月の十九日


 ライラから手紙が来た。ライラは貴族になったから年越しが大変らしい。バタバタしているんだとか。パーティーとかに参加するらしい。いつか年収めの時に王都で過ごさないかというお誘いもあった。

 ライラの元で年収めをするのもありかもしれない。今年はルアノがまだ耐えられないからの。

 来年か再来年ならありかもしれない。それか、ライラにこちらに来てもらうのもいいかもしれない。ライラはしばらく村にも帰ってきてないし、イラフたちが大きくなったらこちらにこれるようになるだろう。


 新聖暦895年 氷月の二十一日


 ラオが村に下りた。そこで聞いたらしいが、毎年毎年、村の人口は増えているらしい。あと年収めを見に来る人も増えているだとか。我らがいるという事もあって、有名になってきているんだとか。


 新聖暦895年 氷月の二十三日


 ラオと一緒にのんびり過ごす。今日は子達の事はミカガネが見てくれていた。ラオとのんびり、ゆっくりとするのは楽しい。

 我、ラオの事が好きだと素直に口にすれば、ラオはとても喜んでいた。愛い奴め。


 新聖暦年895年 氷月の二十四日


 今日は雪が降っている。

 雪が降ると子たちが楽しそうなので、雪が降ると我も嬉しくなる。


 新聖暦895年 氷月の二十五日


 ミカガネが村からうどんなるものをもらってきた。村に人が多く訪れるようになってから、村に伝わってきた食べ物らしい。我、こういう細長くて熱い食べ物あまり食べた事なくて、口にした時熱くてびっくりした。美味しかったけど。

 人の世には我が知らない食べ物が沢山ある。いっぱい、知らないものを知っていきたいとそう思う。

 本当にルグネを拾ってから我の世界は広がった気がしてならない。


 新聖暦895年 氷月の二十七日


 今日の夜空はとても綺麗だった。星が良く見えた。ルグネとルアノは星が好きなようでよく見ている。



 新聖暦895年 氷月の二十九日


 母君と父君が年越しまでこちらにいるとまたやってきた。去年もそうだったが、この村で我らと年越しをすることを母君と父君は気に入ったようだ。我も楽しいからよしとする。


 新聖暦895年 氷月の三十日


 年収めである。明日になればまた新しい年が始まる。子達も一つ大人になるのだ。

 今年もいろいろ充実していた。竜の祝祭が王都でも行われて、我はとても楽しかった。こうして楽しい事が少しずつでも増えていくのはとても良い事だ。

 我はこうして楽しい事が増えていく事が嬉しくて仕方がない。村は去年よりもにぎわっている。村人じゃない人も年収めのために此処にきてたりする。不思議なものだ。ただ人が沢山いるとそれだけにぎやかで楽しいとも思える。害は特にないしな。

 母君と父君も楽しそうで、我が子達も楽しそうに村の子供たちと遊んでいて、やはり年収めというものは良い。

 七回目の参加だが、いつも通り楽しい物だ。

 来年にはどんなことが待っているだろうか。我が子達が楽しく生きていければそれでいいと思った。

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