ドラゴンさんの子育て日記㊼

新聖歴894年 流月の三日


 学園都市に滞在している。とても楽しい。2号の兄と妹は両方とも楽しそうにしていた。何でも2号の一族は国を治める一族のため、本来ならこんな風に自由に過ごせる時間はそんなにないらしい。

 今回は竜である我らが一緒だから割と自由らしい。護衛の数もこれでも少ないらしい。2号の子達はもっと自分の身を自分で守れるようになったらもっと自由に動けるのではないかと疑問を口にしたら、何かキラキラした目をされた。

 それでなぜかやる気に満ちた目で「そうですね、そうなれば自由にっ」と二人して何か決意していた。


 新聖歴894年 流月の四日


 学園都市をラオと子達とぶらぶらする。ちなみにミカガネは2号の子達についてくれている。そうしてぶらぶらしていたら声をかけられた。学生の着るセーフクというものを着たものである。何で我らに声をかけてきたのだろうかと我はとても謎だったのだが、ラオはその者を把握していた。

 ラオとその者の会話で分かったのだが、その者は以前、苛められていたものだった。あの愛人の子がどうたらと言われていたものか。しかし顔を全然覚えていなかったので、我は誰ぞ、こいつと思ってしまった。

 ラオは記憶力が良い。流石、我のラオである。

 何だかその者は、ラビノアに感謝していた。ラビノアが「そんなやつらはぶちのめせばいい」と言ったのを聞いて、何だか強くなろうと決意したらしい。それで頑張っているんだとか。強くなる事は良い事である。弱いよりも自由に動くことが出来るからの。

 なんだかその愛人の子は——名前が覚えられずにそう呼んだらラオに注意されたので、以後、青の少年と呼ぶ事にした。青い髪をしているから。何だか我らと話したいというからしばらく食事をした。食事代はラオが持った。ラオは青の少年から魔法学園の情報を聞き出す事が目的だったようだ。我は何も考えずに食事をしてしまった……。


 新聖歴 894年 流月の七日


 2号の子達は、王族として顔が知られているらしく阻害の魔法具を使って学園都市内をうろうろしていたらしい。何故我らに一々あったことを報告してくるかは分からないが、まぁ、聞いておいた。

 2号の子達と我が子達とミカガネで出かけて行ったので、我はラオと二人でのんびりした。ラオと手を繋いでぶらぶらするのも楽しいものである。ラオも終始にこにこしていた。ラオも我と一緒にぶらぶらするのが楽しかったらしい。同じ気持ちで楽しめるのは素晴らしいことだ。


 新聖歴894年 流月の十一日


 学園都市を後にする事にした。子達も楽しそうなのでまた来ようと思った。

 ひとまず王都まで2号の子達と共に行くことにした。ライラに魔法学園の話を沢山するのだ。


 新聖歴894年 流月の十六日


 折角なので行きに見た蛇を見に行った。我とラオしか見ていなかったから。子達も見たいと言っていたのだ。何だか気絶しそうなぐらいふらついていた。大丈夫か?

 ミカガネに後から「そりゃあ竜が沢山いたら怯える」と言われた。学園都市から近い場所に居るのだから顔見知りになっていた方がいいかと思ったのだが。次も覗いたら怯えているだろうか。


 新聖歴894年 流月の二十日


 王都に到着した。ライラに会えると思うと我はにこにこしてしまう。

 まずは2号の子達を城に送り届けた。そのまま、城でお茶でもと言われたが断ってライラの元へ直行した。ライラは笑顔で受け入れてくれた。我はライラの笑顔を見ると嬉しかった。


 新聖歴894年 流月の二十三日


 ルグネ、ラビノア、シノウールがイラフと仲が良さそうでとても良い。ライラの子も我にとっては子のようなものである。仲が良いと嬉しくて仕方がない。可愛くてパシャパシャした。もっと大きくなったらイラフも連れて学園都市に行ったり色々したいものだ。ライラと一緒に旅行とか絶対に楽しいと我は思う。


 新聖歴894年 流月の二十七日


 棲家に帰る事にした。ライラにまた会いにくると告げて棲家に戻る。竜の姿にもどってびゅっと飛んでいくのだ。やはりこちらの方が移動が早くていい。


 新聖歴894年 流月の二十九日


 棲家に戻ったら、母君と父君がすぐにやってきた。母君も父君も子達に会えなくてさびしかったらしい。あの母君と父君がこんな風になるとは、子の力とはすごいものだ。そう呟いたら、ミカガネに「貴方が一番親バカに変化してる」と言われた。確かに、我は子が出来るまでこんな風になるなんて思いもしていなかったけれども……。


 新聖歴894年 流月の三十一日


 あっという間に一月が終わりを告げる。

 本当に時の流れというものは早い。今月はほとんど出かけていたので、来月はもっと棲家や村でゆっくりしようと思う。家族旅行は楽しいけれど、やはりこの場所は居心地が良い。

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