ドラゴンさんの子育て日記㊹
新聖暦893年 氷月の一日
今年も今月で終わりである。そう思うと不思議だ。時の流れは本当にはやいものである。ルグネを拾ってから本当にはやくて我はびっくりする。こうしてどんどん月日は過ぎていくのか。過ぎていった先で、先にルグネの寿命が失われる事は確定している。それを考えると悲しいけれど、ひとまずそういうことを考えるよりももっと楽しく過ごそうと思った。暗い事考えるのは我の性分に合わん。
新聖歴893年 氷月の三日
ライラの所へ遊びにいくのは、月の半ばになった。年収めの時期は、ライラは結構大変らしい。そのこともあって、我らが行くのは半ばになった。
新聖歴893年 氷月の五日
寒そうなルグネを人の姿になって思いっきり抱きしめる。我が子を抱きしめるのは良いものだ。ルグネはまだ素直に抱きしめさせてくれるが、竜の子であるラビノアとシノウールは精神が人よりも成熟しているのもあって抱きしめられるのをよく嫌がる。……ルグネももう少し大きくなったら抱きしめられるの嫌だといったりするのだろうか。それは悲しい事だ。
新聖歴893年 氷月の十日
今日は王都に旅立つ。
竜体になって我とラオとミカガネで子たちをのせて飛ぶ。ラビノアとシノウールは飛ぶことは出来るが、まだ長距離は飛べないので我らが乗せるのだ。
新聖歴893年 氷月の十一日
王都では、ライラやきんきらきんたちが出迎えてくれた。ライラの子であるイラフは相変わらず小さかった。愛い愛い。なんともまぁ、小さき頃のルグネを思い出してしまう。
ルグネもこんなに小さかったといっても「えー」って顔をルグネはしていた。
うむ、このように小さかったルグネがもうすぐ六歳を迎えると思うと我は嬉しい。
新聖歴893年 氷月の十二日
十日間王都で過ごす日程になっている。今日は学園都市にいった時の話をライラと沢山した。我やっぱりライラが大好きである。
新聖歴893年 氷月の十三日
ミカガネやきんきらきんたちが子の面倒をみてくれるということで、我とラオは劇を見に行った。その帰りにいつもお世話になっているミカガネたちに何かプレゼントを買おうという話になって二人で王都をぶらぶらした。
美味しいけぇきのお店を見つけた。美味しかった。これをプレゼントしようと買った。お金の管理はラオがしているからラオが払ってくれた。けぇきを持ちかえれば、皆喜んでくれた。ミカガネも嬉しそうだった。良かった。
皆が喜んでくれるのならば、色々なものをプレゼント出来たらと思った。
新聖歴893年 氷月の十五日
イラフを抱きかかえて、ルグネもこんな風にか弱かったと思い起こして本当に懐かしい気持ちになる。
きんきらきんは良き父親をしているらしい。ラオとなんか父親としての心構え? とかなんか話していた。ラオの方が父としては先輩だからというのもあるからだろうが、まぁ、仲良くなるのは良いだろう。
新聖歴893年 氷月の十七日
なんか我らに会いたいという王都の人たちがそこそこいたらしいが、きんきらきんが断ってくれているらしい。
そこには感謝しといた。
感謝するぐらいなら名前を——と言われたけどきんきらきんはきんきらきんである。
きんきらきんには感謝の証にラオが何かやっていた。
新聖歴893年 氷月の十九日
ライラと共に過ごすのはやっぱり楽しい。ライラの事が我は好きだ。やっぱりずっと一緒にライラと居たくなる。でもライラ、結婚して幸せそうだから我はライラを棲家に連れて帰るのは諦める。でもきんきらきんがライラを泣かせたら絶対に連れて帰る。
そんな風にライラに言ったら「私は幸せだから大丈夫。ありがとう」と笑ってくれた。
新聖歴893年 氷月の二十二日
今日は棲家に帰る日だ。ライラとイラフと過ごすのは楽しかった。子たちも楽しそうだった。
イラフはきゃっきゃっと笑っていて、子たちも離れがたい気分になっていたのだろう、もう帰るのという目で見ていた。
でもまた来れるからといって、棲家に戻った。
ライラにまた会いに来よう。
新聖歴893年 氷月の二十四日
村に戻って、のんびりと過ごす。
ライラやイラフをぱしゃぱしゃしていたので、その写真を見返して何だか嬉しくなった。
新聖歴893年 氷月の二十七日
今年も去年と同じく魔物を狩った。村の者達は我らによくしてくれている。その恩返しである。
我一人でも大丈夫なのだが、ラオは一緒に行くというので一緒に行った。ラオは我に雄がつく事を心配しているらしい。
ミカガネに村の男たちは手を出すわけないでしょうと呆れられてた。まぁ、我もラオと一緒に出掛けられるのは嬉しいから良いのである。
新聖歴893年 氷月の三十一日
今年ももう年収めである。明日になればもうルグネも六歳だ。六歳になったルグネがどのように成長していくのか楽しみだ。
ラビノアやシノウールもどんな風な成竜になるだろうか。そう考えると本当に楽しみだ。
村の者達と年収めを過ごす事は楽しい。沢山おもてなしをしてくれるし、こうして大勢で過ごすのは楽しいものだ。ルグネを拾わなければこんな気分も知らなかっただろう。
年収めの間、相変わらずラオは我にべったりだった。ミカガネに大丈夫と言われ、村の者達にも大丈夫と言われていても心配らしい。ラオは相変わらずだ。我は嬉しいから良いけれど。
来年はどんな年になるだろうか。
来年も楽しい思い出を沢山作っていけたら我は嬉しい。
そんな風に我は思った。
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