ドラゴンさんの子育て日記㊴
新聖歴893年 流月の三日
我らは王都にいる。もうすぐライラの子が生まれそうということでかけつけたが、まだ生まれてはいない。
早く生まれないかとはらはらしていれば、ラオにはらはらしても仕方ないと落ち着くように言われた。しかしライラが子供を産むのだ。心配するのは当然である。
新聖歴893年 流月の五日
ライラが産気づいた。苦しそうなライラを見ながら我まで苦しくなる。ライラ大丈夫かと不安だったが、無事にライラは人の子の雌を産み落とした。小さな小さな赤子を見ると、ルグネの赤子だった頃を思い出してしまう。
新聖歴893年 流月の七日
小さな小さな赤ん坊。それを抱いて母の顔をしているライラを見てなんだか幸せな気持ちになった。我、ライラが幸せそうだと凄く嬉しい。我はライラが大好き。ライラの子も、まるで我が子のように愛おしい気持ちがわいてくる。
……愛い愛い、と赤ん坊の周りをうろうろしていたら、赤ん坊が落ち着かないからあまりうろうろしたら駄目だと怒られた。
うむ、我よりもルグネやラビノア、シノウールの方が落ち着いていた。我が一番はしゃいでいたのが後から自覚してちょっと恥ずかしい気持ちになった。ラオには、それが我らしいといわれて笑われたが。我は立派な成竜なのだ。きちんと落ち着きをもたなければ……。
新聖歴893年 流月の十日
しばらくライラの家にとどまることにした。パシャパシャとライラとライラの子を沢山撮る。名前はちなみに、イラフという名前になったそうだ。きんきらきんとライラの名前を合わせてなんだそうだ。良い名前である。我にとって第四の子のように愛おしいと口にしたらライラが嬉しそうに笑ってくれた。ルグネとラビノア、シノウールもイラフのことを妹のように実感しているらしい。
うーあーと声を上げているのがとても愛おしく思う。そして人の子というものは本当にか弱い。
新聖歴893年 流月の十二日
きんきらきんも中々親バカな気がする。娘が可愛いと顔を破顔させていた。ライラとイラフのことを大切に思っているようで良いことである。イラフにとって良い父親でないのならば我、ライラとイラフを我が巣に攫う。なんて口にしたらきんきらきんがそんなこと絶対にしない! と口にしていた。
新聖歴893年 流月の十五日
今日はラオとでぇとをした。子たちはきんきらきん家で見てくれているということで二人で人の姿でうろうろする。こういうのも悪くない。ラオと一緒にぶらぶらするの我好きである。あとラオは相変わらず周りをいつも通り威嚇していた。我は他の雄になど靡かないというのに、本当に心配性だと思う。
新聖歴893年 流月の十八日
きんきらきんの家の庭は広い。その庭で子たちは魔法の練習をしていた。ルグネが魔法を使えるようになった。初めての魔法は風の魔法だ。ルグネが魔法が使えたとにこにこと笑ってた。愛いとしか言いようがなかった。我はにこにこしながらパシャパシャしてた。ミカガネが写真を撮りすぎだと呆れていた。
新聖歴893年 流月の二十日
ライラがもし子供が魔法が使えなかったらどうしようと心配していた。きんきらきんの家は大貴族だから、魔法が使えないと色々と面倒なことになるかもしれないらしい。魔力があろうがなかろうが、魔法が使えようが使えまいがどうでもいいと思うが、大貴族なるものだと色々大変らしい。
イラフを大変な目に合わせる奴は我が許さない。そんな輩がいたら、我は怒る。
新聖歴893年 流月の二十二日
それにしても生まれたばかりの子は愛いものだの。
我はイラフを見ているだけでにこにこしてしまう。我にとって四人目の子のような少女。愛い愛いとしか口に出来ない。この子がどのように成長していくかずっと見てみたい気もするが、ずっと人の世で生活をしていくつもりはないので、もうすぐ一度巣に戻る予定だ。
新聖歴893年 流月の二十五日
ライラと魔法学園についての話をした。イラフも魔力があれば魔法学園に通うことになるだろうといっていた。まだ生まれたばかりなのにそのように道を決められてしまうというのは本当に人の世は面倒だなと思った。
あとラビノアとシノウールも通いたいなら魔法学園に通うのは大丈夫ときんきらきんがいってた。きんきらきん二号にちゃんと許可ももらってるらしい。良かった。
もし我が子たちが魔法学園に通うならば、イラフの先輩になるのだろうか。それはそれで楽しそうだと思った。
新聖歴893年 流月の二十七日
もうすぐ巣へと戻る。何だか名残惜しいが、またすぐに来よう。イラフが愛いからまたくるのである。あと我のライラが笑っている姿を見に来たいから。ライラのこと、我好き。ライラのことを今日はぎゅってした。ライラ、驚いてたけどぎゅって返してくれたのだ。ライラも我の事好きだと思うと嬉しい。
新聖歴893年 流月の三十日
ライラとイラフにお別れをして巣に戻った。村の連中がおかえりなさいと大歓迎してくれた。
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