ドラゴンさんの子育て日記⑳
新聖歴890年 深月の三日
今日も我が子たちは愛い。我は今日もラオとの交換日記に子達の可愛さについて書く。愛い、と感じてならない子たちの可愛さを存分に伝えきる能力は我にはないが……でも頑張って、子達の可愛さを表現したいのである。あまりにも上手くいかないから子達の絵でも書こうとしたが、上手くいかなかった。
……我の子達は、もっと愛いというのに我はその事を最大限に表現できないのである。ちょっと落ち込んだ。
新聖歴890年 深月の五日
ライラに「シルビア様は絵が苦手なのですね」といわれた。……うむ、我は今まで絵など描いた事はなかったから知る術もない事であったが、確かに絵が苦手なようだと自分で自覚した。
ちなみにラオはそういう事が得意だったらしく、我らの絵をかいてくれた。我と、ラオと、子達と、ライラと、ミカガネを描いてくれたのだ。
その絵をラオは我にくれて我はご機嫌になった。
新聖歴890年 深月の十日
少しずつ肌寒い季節なので、ルグネの防寒を気を付けている。風邪を引いたら大変だからの。
我ら竜は、正直防寒などいらないのだがラビノアとシノウールにも防寒具を着せてみた。愛い。
新聖歴890年 深月の十五日
突然、我の母が襲来した。
新聖歴890年 深月の二十日
本当に久しぶりの母君である。何故突然? と思ったが、我が子を産み、人間の子を育てているという事を聞いて気になったらしい。巣穴に母君が滞在して既に五日過ぎている。母君は、「可愛いのぉ」と我が子達にメロメロである。うむ、我が子達が可愛いのは真実である。
新聖歴890年 深月の二十三日
母君はまだいる。ルグネ、ラビノア、シノウールの事を「可愛いのぉ」と何度も口にして構っておる。人の子であるルグネの事を母君は初めは訝しんでいたが、あまりの可愛さに孫として認めてくれているらしい。
新聖歴890年 深月の二十五日
ラオに我と母君がそっくりだといわれた。そっくりかのと、我には疑問である。しかし我が子を気に入ってくれるのは嬉しいけれども、いつまでいる気なのだ?
新聖歴890年 深月の二十九日
ライラと母君が交流をしている。なんか、母君もライラを気に入ったらしい。ライラの事は我の方が気に入っているのだぞと思ってならない。
ライラ、我の方がライラの事を気に入っているのだからなといったらライラは笑ってくれた。
新聖歴890年 氷月の一日
ラビノアとシノウールが母君に構われ過ぎてうんざりしていた。
母君にいつまでいるのだ? と聞いてみたら、孫が可愛いからもっといたいとか言い出した。
新聖歴890年 氷月の十日
結局話し合いの末、母君は我たちの巣穴からそこそこ近い近所の山に住む事にしたらしい。そんなこと勝手に決めていいのかと思ったが、まぁいいだろう。我としてみれば、あまり居座られると落ち着かないためちょくちょく遊びに来そうだが、よしとしよう。
それにしても母君とは、本当に長い間あっていなかったのだが、これからはよく会うことになりそうだ。
新聖歴890年 氷月の十五日
ルグネが風邪を引いた。とりあえず我がルグネを連れて村に向かった。村でゆっくりルグネの体調がよくなるように看病をした。今年のこの季節は去年より寒いようで、大事をとって人の村でゆっくり休ませてもらう事にしたのだ。
新聖歴890年 氷月の十八日
ルグネの看病を一生懸命やる。我も最初の頃に比べて、看病も得意になったのである。治癒の魔法についても少しずつ上達している。我はルグネやライラに何かあった時にどうにかしたいからの。
新聖歴890年 氷月の二十日
ルグネの体調がよくなった。だけれども、まだ冷え込んでおるから大事を取ってまだ村に居る。ラオがラビノアとシノウールを連れてやってきた。ラビノアとシノウールはルグネを心配した様子だった。
二匹は流石竜というべきか、人にとっては寒いという季節でもまだ子竜なのにぴんぴんしておる。
新聖歴890年 氷月の二十四日
今年ももうすぐ終わるのかと思うと不思議な気持ちになる。ルグネを拾うまで年月の経過など全く気にしておらんかったのに。
新聖歴890年 氷月の三十一日
今日で今年も終わる。ルグネと出会ってから我は本当に変わったと実感する。ルグネ、ラビノア、シノウールが無事にすくすく育っているのを見ると、本当に心がぽわーっとなる。
村で過ごす年の収めも今年で三回目だ。すっかり我はこの村の歳の収めの常連である。我らの像も今年はあって、何だか年の収めの度に色々な新しい気持ちを感じられて、我はこの年の収めを経験するのが何だか毎年楽しみになっている。
ルグネもラビノアもシノウールも楽しそうにしている。ラビノアとシノウールは、まだ人化出来ないから竜の姿のまま遊んでいる。ラビノアとシノウールはその年の収めの後、人化出来るようになりたいと言っていた。
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