名前の知らないあなた

 その日の朝は、ゆっくりと始まった。あたしはパジャマ姿のまま、テレビをぼんやりと見ていた。今見てる番組には、カラフルな衣装を着たこれまたカラフルな髪色をしたアニメキャラの女の子が実写の人間の司会者とトークをしている様子が映し出されていた。あたしはトーストをかじりながらため息をついた。ああいう”萌え系”って感じのキャラクターって、クラスのオタクっぽい男の子達の間だけでもっぱらはやってるみたいだけど、最近はテレビのニュースとかバラエティ番組とかにも出るようになったんだなあ……って。そう思いながらぼーっとしていると、玄関のドアが開く音がした。誰だろうと思って玄関へ出ると、知らない男の人が立っていた。黒いセーターに、灰色のジャケットを羽織った彼は、丸っこい顔に笑みを浮かべ、こう言った。

「菜穂……だよね?」


(続く)


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます