第27話 お姫様
アオウミガメのミーファが仲間に加わった。アオウミガメの甲羅はツルツルで、俺の吸盤でピッタリくっつくことができる。将来背中に乗っけてもらえそうで良い感じだ。
「ミーファの甲羅、スベスベで俺の吸盤の具合が凄くいい感じで張り付くよ!」
「八雲君なんかイヤらしい……」
「そんなんじゃないって! アカウミガメの方だったらギザギザでなんか棘っぽくて、痛そうな甲羅をしているんだよ? それに雑食だから、お腹が空き過ぎたら俺たちを食べちゃいそうだし……」
「棘強そうだけど……強い個体を仲間に入れるのも考えものね。裏切られた時のことも考慮しながら仲間は選ばないとね」
「俺の吸盤もくっ付きにくそうだし、スベスベの方が良いんだよ。ねえミーファ、ミーファは成体に成ったら大体1mぐらいまで育つんだけど、ある程度大きくなったら移動の際は背中に乗せてくれる?」
「ええ良いわよ! 今でも大丈夫よ? あんまり今は速く泳げないけど、あなたたちの大きさなら余裕で乗せられるわよ」
ミーファはああ言ってくれるが、生まれてから数日しか経ってないのだろう。まだ7cmほどの赤ちゃんだ。
「でも7cmだと赤ちゃんなんだよね。転生者はこうやって生前の記憶があるから、どうしても当時の体のイメージが強くって、無理しちゃうんだって母さんが言ってた。俺たち3人は本来の種族的にはこうやって海底に居ないんだよ? 海面付近を浮遊して、浮いている海藻に隠れながらプランクトンやクラゲなんかを食べて、ある程度育ってから着底するんだ」
「そうなのですか? 知らなかったです。だから気が付けば海の水面付近に行って海藻に入りたい衝動があったんですね」
「私もそうです! やたらと海面付近が気になってそっちに行きたい衝動があったのです」
「本能的なモノなんだろうね。海底よりぐっと危険が減るからね」
「八雲君はどうして海面付近に移動しないで、本能に逆らって生まれた巣穴に居続けたのです?」
「食事かな……母さんが種族特性に縛られて、食事を半年間も絶って卵だった俺たちを守ってくれていたんだよ。タコは我が子の巣立ちを見守った後、ゆっくりと生を終えるんだ。転生者だった母さんも精根尽きてて、種族特性なのかそのまま死を待っていたので、俺が動いて食事を運んだんだよ」
「ヤクモのお母様はどうなされているのです?」
「俺と母さんじゃレベルが違い過ぎるんだ。この界隈で母さんが狩りをするのはご法度なんだよ。通称赤ちゃんフィールドって言って、高レベル者が狩っても大した経験値が得られないので、ここで狩るのはだだの快楽殺人と同義なんだって。神々がいる世界でそういう行為は直ぐにペナルティーを課せられるし、周りからは顰蹙を買ってハブられるから誰もしないそうだよ。なので俺を生んでくれた母さんは、3つ先のフィールドに移動して俺を待つそうだ」
「そういう事情があったのですね。早く会えると良いですわね」
「うん、ありがとう。ミーファのステータス見ていいかな? 俺たちのも開示するので、お互いのことをもう少し知っておこうか? ちーちゃんがヒーラーなので、戦闘時のステータス管理をしてくれるから安心だよ」
レベルアップもしているので、APを使用してスキルのレベルも上げておく。
【八重樫八雲】
HP:1068(2136)
MP:682(1364)
レベル:8
種族:人族
仮種族:ヒョウモンダコ
性別:男
年齢:16歳
転生年齢:0歳
職業:……
攻撃力:789(1578)
防御力:628(1256)
敏捷力:98(196)
知力:1427(2854)
精神力:1017(2034)
運:……
魅力 :1481(2962)
AP:3
《スキル》
《生活魔法》
【亜空間倉庫】Lv1
【クリーン】
《種族固有魔法》
特殊支援系
【墨吐き】Lv5
戦闘攻撃支援系
【麻痺毒】Lv10
【テトロドトキシン】Lv5
《既存魔法》
特殊支援系パッシブ
【隠密】Lv5
【忍足】Lv3
【暗視】
【気配察知】Lv5
戦闘支援系パッシブ
【身体強化】Lv10
【腕力強化】Lv3
《ユニークスキル》
【周辺探索】Lv1
【詳細鑑定】Lv5
【インベントリ】
【カスタマイズ】
【ちゅうちゅうたこかいな】
熟練度アップさせた箇所
【麻痺毒】Lv5 → Lv10
【墨吐き】Lv3 → Lv5
【身体強化】Lv5 → Lv10
【気配察知】Lv1 → Lv5
ちーちゃんは4レベルアップか。
【経験値増量】に全振りしたい気もするけど、【身体強化】と回復のレベルは上げておきたい。
【戎吉智穂】
HP:469
MP:627
レベル:5
種族:人族
仮種族:オトヒメエビ
性別:女
年齢:16歳
転生年齢:0歳
職業:……
攻撃力:164
防御力:83
敏捷力:59
知力:1383
精神力:1265
運:901
魅力 :1521
AP:1
《スキル》
《生活魔法》
【亜空間倉庫】Lv1
【クリーン】
【ライト】
《種族固有魔法》
特殊支援系
【お手入れ】Lv1
戦闘攻撃支援系
【鋏】Lv1
《既存魔法》
特殊支援系パッシブ
【隠密】Lv3
【忍足】Lv1
【暗視】
戦闘支援系パッシブ
【身体強化】Lv5
【腕力強化】Lv1
攻撃支援系
【ヘイスト】Lv1
【フロート】Lv1
回復支援系
【アクア・ヒール】Lv5
【アクア・キュアー】Lv1
《ユニークスキル》
【毒無効】
【経験値増量】Lv7
【欠損回復】Lv1(Lv30解放)
【スキルキャンセラー】
【無詠唱】
熟練度アップさせた箇所
【隠密】Lv1 → Lv3
【身体強化】Lv1 → Lv5
【アクア・ヒール】Lv1 → Lv5
【経験値増量】Lv1 → Lv7
さてミーファはどんな感じかな?
【ミーファ・A・ガーランド】
HP:672
MP:289
レベル:3
種族:エルフ族
仮種族:アオウミガメ
性別:女
年齢:15歳
転生年齢:0歳
職業:……
攻撃力:382
防御力:656
敏捷力:158
知力:986
精神力:877
運:861
魅力 :1416
AP:2
《スキル》
《生活魔法》
【亜空間倉庫】Lv1
【クリーン】
【ライト】
《種族固有魔法》
特殊支援系
【潮読み】
【速泳】Lv1
戦闘攻撃支援系
【体当たり】Lv1
【物理耐性】Lv3
【魔法耐性】Lv1
《既存魔法》
特殊支援系パッシブ
【隠密】Lv3
【忍足】Lv1
【暗視】
戦闘支援系パッシブ
【身体強化】Lv5
【腕力強化】Lv1
攻撃支援系
【プロテス】Lv1
【シェル】Lv1
《ユニークスキル》
【毒無効】
【王の威圧】Lv1
熟練度アップさせた箇所
【隠密】Lv1 → Lv3
【身体強化】Lv1 → Lv5
【物理耐性】Lv1 → Lv3
「レベルは3なんだね。え? ミーファって15歳なの? エルフだから高齢なのかと思ってた」
「私ももう少し年上と思っていました。凄く落ち着いてるのね」
『♪ マスター、お忘れですか? 転生者は18歳以下の方のみですよ』
『あ、そうだった。エルフ=長寿でいつまでも若々しいイメージがあったので忘れてたよ』
「うふふ、ありがとう。でもお2人ともわたくしより1つ上なのですね? わたくしも来月16歳なんですよ」
「じゃあ、学校の学年でいえば同級生だね。やっぱ防御力が高いね。パッシブに、物理と魔法耐性があるのに更にスキルで耐性を上げられるとか、どんな守りだよって話だね。【潮読み】ってどんなスキル?」
「それは潮流を読んで高速遠泳が可能になるスキルです」
「そういえば何かのドキュメント番組で見た気がする。恋のお相手を見つけるために、数万キロも移動するとか、地球を一周するとかやってたな」
「八雲君、彼女にも【毒無効】がありますよ! 毒の心配しなくて済みますね。この【王の威圧】ってなんでしょう?」
ミーファは迷っていたが、やがてゆっくり語るように話を切り出した。
「わたくしは生前、エルフの国、ガーランド王国の第一王女でした。16歳の即位式を迎えると、次期国王の座を確約する式典が執り行われ、大体100歳ぐらいで王位を継承します」
「お姫様! しかもエルフの姫! ちーちゃんの名ばかりの乙姫蝦と違って本物の姫だよ!」
「あなたかなり失礼ね! 挟むわよ!」
「イタッ! 既にもうハサミで挟んじゃってるじゃん!」
ちーちゃんに小さなハサミで抓られた……地味に痛い。
「それで16歳の即位式の前に、妹の派閥の者に毒殺されちゃいました。多分その関係で【毒無効】というユニークスキルを転生時に得られたのでしょうね……」
「王位継承権争いか……姉妹で殺し合うとか王族も大変だね」
「妹は関係ないのです! わたくしと妹はとても仲は良かったのです! 問題はわたくしが第二夫人、つまり側室の子供なのに長女として生まれてしまったのが問題だったのです。妹は正室の子で、次女として生まれました。エルフ国は代々、長男もしくは長女が王位を継ぐ習わしがあったので、わたくしが継承することに決まったのです。ですが正室のお母様が納得いかず、わたくしの母といつからか口論になって、それが元で正室派と年長派に派閥が分かれてしまい、内政も少し荒れたみたいです。結局正室派の者に食事に毒を盛られ、わたくしは亡くなったのですけどね」
「そっか……大変だったね。妹が関わってなくて、恨んで死んでないだけでも良かったと思おう」
「ええ、そうですわね。せっかく転生の機会を得たのです。楽しみながら新たな人生を歩みましょ」
大変な目に遭っているのに前向きなところは凄く好感がもてる。
俺なんか生きるのが面倒とか言って、死を望んだくらいなのに。
でも、ミーファの話の途中から急に黙り込んだちーちゃんが気になる。どうしたのかな?
同情して、憤ってるのだろうか?
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