『君は◯◯みたいな人だなぁ』と言われた日には……・後編

 前編で触れた【辛かった悩み】についてお話します。

 社会人になって最初の職場、働きだして3年くらいの頃に起きたこと。


 6月になったばかりの朝。

 ロッカー室に入って『おはようございます』と挨拶した私。いつもなら『おはよう』と返ってくるのですが、誰ひとり私に見向きもせず身支度を進めています。

 この時は聞こえなかったのかな? くらいにしか考えていませんでした。


 仕事が始まってからも続いた妙な空気。仕事中と休憩時間、誰も私に話しかけてこない。話しかけても無視されてしまうのです。

 どうしてなのかわかりませんでした。

 前日の仕事終わりまではみんなとお話して『お疲れ様ぁ、また明日ね』と笑っていたのですから。

 そしてこの日から、2ヶ月ほど無視されることとなったのです。


 私を無視していた若い女性ひと達。歳が離れたパートのおばさま達は話をしてくれました。おばさま達も私が無視される理由がわからず、私は彼女達の顔色を伺いながら悩み続けていました。

 仕事中や話をしている中、怒らせることをしたんだろうか? ……だけど思いあたることはない。

 何かを目的とした団結力は強いもので、彼女達は【嫌う対象】である私がそばにいても、まるっきり見えない・聞こえないように振る舞っていました。

 そして、離れた場所にいる時には私を見ながら何かを話している。


 無視されだしてから1ヶ月が過ぎた頃。私はひとりの時間を楽しむようになりました。

 無視されだしてからの1ヶ月は、胃が痛くなるほど悩んで上司に相談し『璃子ちゃんが神経質だったら、本当に神経質な人は寝込んでるよ‼︎』発言にも心折られた日々でした。

 だけどひとりの時間を楽しみだした1ヶ月は、考えたいことを考えて読みたい本を読んで……と、寂しいながらも充実していたように思います。


 この職場でひとりの時間をずっと楽しんでいた男性ひとがいます。

 当時50代だったと思いますが、課長の役職についていた方で休み時間になると尺八を吹き始めるんです。それはもうとにかく酷い音色でした。

 それで……悪いことをしたなって思うんですけど、入社当時色々な人から『あの課長変わってるから、話しないほうがいいよ』『関わらないほうがいいよ』って言われていました。

 課長がどんな人なのか知りもせずに『関わるな』『変わってる』と私から課長に話しかけたことはなかったんです。

 今でこそマスコミの偏向報道に辟易し、人の噂に流されない私だけれどこの時の私は【入ってくる情報・耳にする噂】に流されきってたんです。

 課長と話すと私まで変な目で見られてしまうと思っていました。

 休憩時間になると、仕事場に流れだす尺八の音。課長は自分の時間を大切にしていた自由な人だったのかもしれません。


 無視され続けた日々。

 無視されだしたのも突然なら、終わりがやってきたのも突然でした。

 夏の暑さに包まれる朝、何事もなかったように『月野さん、おはよう』と声をかけられたのです。

 呆気にとられ、何も言えない私を前に笑う彼女達。

 彼女達の話によると、ひとりの女の子が言ってきたんだそうです。『月野さんにありもしない悪口を言いふらされた』と。

 私は誰の悪口も言ったことはありません。女の子がついた【ありもしない嘘】を鵜呑みにして始まった無視だったんです。

 女の子がどうして嘘をついたのかわかりません。だけどこの時の私は、女の子への怒りよりも彼女達への嫌悪に包まれ、気味の悪さで体が震えたのを覚えています。


「月野さんそんな人なんだって思ってさ。だけど変だな? って思って、女の子を問い詰めたら嘘だって言うからさぁ。……ごめんね?」


 ケラケラ笑う彼女達に感じた嫌悪と恐怖。この日以降、仕事での話はしても私から距離を置いての日々は続きました。


 嘘をついた女の子が、彼女達に無視されひとりになったのを目にしていた日々。【誰か何か】に向けられる団結力は残酷なものです。

 女の子が退職してから数年後、私も退職しディスカウントストアで働かせて頂くことになりました。ディスカウントストアで働かせて頂いたのちに、今の職場(スーパーマーケット)で働くことになるのですが。






 沢山の情報や語られるものの中から、本当のことを見つけるのは難しいです。


 何が本当で嘘なのかは人それぞれ違うものかもしれない。

 誰かが傷つけられ、見えない傷跡にあるのは【本当の中に詰め隠されたいっぱいの嘘と歪み】なのかもしれない。








 次回の更新は11月11日(月)を予定しています。よろしくお願いします🍀





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